2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04269
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
有賀 健 京都大学, 経済研究所, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TRAN Hanh Bich 京都大学, 経済研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | セーフティネット / 日本の銀行 / 不良債権 / モラルハザード / 金融システム |
Research Abstract |
不良債権は深刻な問題で個々の銀行の経営を圧迫しているだけでなく、マクロで見た金融システム自体をも危機に陥れている。不良債権問題が持続している背景には、銀行と金融機関の倒産がもたらす影響を小さくするための日本政府による銀行保護がある。政府による銀行保護はモラルハザードの要因となり、また市場の健全性を損なう可能性がある。銀行は政府によって保護されており、リスクの高いプロジェクトを好んで実行するためモラルハザードが生じる。また政府による銀行保護自体が、投資家による銀行経営へのモニタリング動機を損なうため、市場の規律が歪められる。以上の事から、政府による銀行保護が不良債権問題に与える影響を研究する事は、日本の金融システムが抱えている課題の中でも、最も緊急かつ重要なものである.そのために、政府による銀行保護が不良債権問題へ与える影響を明らかにし、不良債権を最小化するための解決策を提案する。 現在、不良債権問題への政府による銀行保護が与える影響を明らかにするための理論モデルを構築している。理論モデルでは、不良債権率や銀行と金融機関の倒産率やモラルハザードなどのいろいろな相互に影響する要素を考えている。このモデルはセーフティネットが銀行のモラルハザードを増やし、銀行の低いリスクのプロジェクトを投資する努力を減少していることを示している。実証研究を行うために日本の銀行のデータを収集し、必要に応じてデータ購入やデータ作成もしている。そのうえ、計算機によるシミュレーションを行うため、適当なソフトを選択し、プログラミングを準備している。
|