2005 Fiscal Year Annual Research Report
中国における生産組織の解体と再編:景徳鎮セラミックス産業を中心に
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04F04270
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Research Institution | Nagoya University |
Host Researcher |
竹内 常善 名古屋大学, 大学院・経済学研究科, 教授
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Foreign Research Fellow |
喩 仲乾 名古屋大学, 大学院経済学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 生産システム / ギルド / 同業組織 / セラミックス / 窯業 / 中国 / 工業化 / 景徳鎮 |
Research Abstract |
1)「社会主義改造期における上海製薬業」。景徳鎮についての考察を深めるための伏線として、製薬業を中心に上海におけるギルドの改造についての研究を試みた。考察の結果として、第一に、再編の目的は、国家によって段階的に私有企業の所有権を買収して平和的に国有化させるということにあった。このことは、農村地主および都市の大資産家に対する政策とは本質的に異なっていた。第二に、しかし、具体的な買収過程においては私有企業およびそれらの代理人としての同業公会(即ちギルド組織)と政府当局の間に、資産額の評価方法や利息率、利息の支払い年数などの詳細をめぐって対立と妥協の絡んだ展開がなされていた。第三に、政府による「思想工作」(政治教育)の目的は私有企業とくに彼等の代理人としての同業公会を分裂させることにあった。第四に、「思想工作」の影響により、私有企業の内部では所有者と経営者の間、経営者と労働者の間、また所有者と労働者の間に動揺と分裂が生じていた。第五に、個々の私有企業内部の動揺と分裂は彼等の協同組織である同業公会の分解をもたらした。実質上、改造期の後半になると同業公会は会員である私有企業の代理人としての立場を失いつつあり、徐々に政府の立場に近づいていった。第六に、社会主義改造の結果として、私有企業は国有化されたが、彼等の代理人としてのギルドの多くは解散され一部は労働組合(「工会」)に変身した。2)「中国における新手工生産システム:景徳鎮窯業を中心に」。景徳鎮のセラミックス産業の現状における特徴として、機械生産を中心とした大量生産システムが国有企業の衰退によって崩壊しつつあるなか、手工生産システムが新たに出現してきたということが取り上げられる。これらの小規模生産者は生産手段として手工生産が主でありながらも、社会的分業関係を持つことによって生産と市場の両方を広げていった。景徳鎮セラミックス産業の現状分析の目的は、景徳鎮セラミックス産業ならびに中国における多くの在来産業における生産組織の再編についての研究のために、より広い範囲での視野と材料を提供することにある。
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