2005 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける風成塵供給源及び運搬ダイナミクスの時間空間的変化
Project/Area Number |
04F04293
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多田 隆治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SUN Youbin 東京大学, 大学院理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 風成塵 / 石英ESR信号強度 / 石英結晶化度 / 黄土高原 / レスー古土壌堆積物 / 偏西風 / 冬季モンスーン / 氷期-間氷期サイクル |
Research Abstract |
昨年度の結果をもとに、中国乾燥地域の8つの砂漠について代表的な試料を選び出し、5つのフラクションに粒度分画を行った上で、個々のフラクションについて石英のESR信号強度測定および結晶度測定を行った。更に、レスー古土壌6試料についても、3つのフラクションに分画した後、石英のESR信号強度および結晶度測定を行った。その結果、1)供給源地域により石英のESR信号強度に違いが見られ、南西部で低く北東部へ向かって高くなる事、2)粒度によるESR信号強度の違いも顕著で、16ミクロンを境に細粒で高く、粗粒で低い傾向がある事、3)結晶度については、ESR信号強度ほど顕著な地域差がない事、4)粒度による結晶度の違いは顕著で、一般に細粒フラクションで高いが、タクラマカン砂漠は例外である事、などが明らかになった。特に細粒フラクションについては、高いESR信号強度と高い結晶度で特徴づけられる中国東北部、中程度のESR信号強度と高い結晶度で特徴づけられる中国中北部砂漠、低いESR信号強度と低い結晶度で特徴づけられるタクラマカン砂漠の3つの供給源が識別された。レスー古土壌試料について行なった予察的分析でも、細粒フラクションの石英のESR信号強度および結晶度が、粗粒フラクションに比べて高く、また、バルクおよび細粒フラクションで、古土壌がレスに比べて高いESR信号強度を示す事も明らかになった。この事は、レスー古土壌堆積物の細粒フラクションと粗粒フラクションの供給源が異なる事、細粒フラクションへのタクラマカン砂漠周辺からの寄与が予想外に大きい事を示す。 更にSun博士は、2005年8月には、受け入れ研究者である多田および2名の大学院生とともに中国黄土高原へ出かけ、レスー古土壌堆積物や、その下位に分布する紅土層と呼ばれる風成堆積物試料の追加採取を行なった後、単独で中国西方砂漠の試料採取を行なった。
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[Journal Article] Zr/Rb ratio in the Chinese loess sequences and its implication for changes in the East Asian winter monsoon strength2006
Author(s)
Chen, J., Chen, Y., Liu, L.W., Ji, J.F., Balsam, W., Sun, Y.B., Lu, H.Y.
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Journal Title
Geochimica et Cosmochimica Acta 70
Pages: 1471-1482
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