2006 Fiscal Year Annual Research Report
赤外線天門衛星による星生成銀河の進化及び活動銀河核との関連性の研究
Project/Area Number |
04F04304
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
村上 浩 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KIM Woojung 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 外国人特別研究員
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Keywords | あかり / 赤外線 / 焦点 / 波面収差 / 光学調整 / 銀河進化 / 活動的銀河核 |
Research Abstract |
宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究本部にて2006.2.2に打ち上げられた日本初の赤外線天文衛星「あかり」は中間-遠赤外線(10〜170μm)サーベイ観測及び2〜26μm波長帯でのディープなポインティング観測を主な目的としている。本研究はASTRO-F搭載観測機器の一つであるIRC(InfraRed Camera)の近赤外線チャンネル(NIR)用い軌道上での望遠鏡-赤外線カメラ間の光学調整(焦点合わせ)を行なうと共に、得られたデータによる星生成銀河の進化の研究を目的とする。 焦点合わせは望遠鏡主鏡-副鏡間隔を変えることで行われ、望遠鏡像面は光軸上を13μm/パルスの移動ピッチで動く事となる。あらかじめデフォーカス量の判断基準として10pulse間隔で各焦点位置での予想像をシミュレーションし、またIRC固有の色収差から焦点内外像を判断するとした。最初の指向観測で得られた点像はシミュレーションによる予想に反する結果となったが像形から主鏡に公差内での傾きがあると仮定し観測結果を再現できるモデルを速やかに再構築した。このモデルからIRCは望遠鏡焦点から140pulse離れた内像を見る位置にあると判断し、初回50pulseの副鏡駆動で内像であることを確認、二回目に残り90pulseを駆動後、IRC点像の半値幅が予想値の約2.5ピクセルに収まったことを確認し意図した光学調整を予定期間内で終えた。最終的に構築されたモデルによる望遠鏡込みでの近赤外線チャンネルの性能は波長5μmでRMS波面収差0.1394λ、ストレール比0.46となり打ち上げ前の予想とほぼ同等の性能となった。 この焦点合わせの結果、高品質の銀河のデータ取得が可能となった。これまでに2006年4〜5月に行なった試験観測(機器の性能評価のための観測)でのデータが解析されているが、北黄極付近の天域における星形成銀河のスペクトルの研究、及び、チャンドラX線衛星が見つけた活動銀河核の「あかり」による観測的研究に大きく貢献することができた。
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