2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04310
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
前川 禎通 東北大学, 金属材料研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JAFARI Sayad Akbar 東北大学, 金属材料研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 非線形光学応答 / 動的平均場近似 / スピン密度波 / 第三次高調波感受率 / 金属絶縁体転移 / 二光子吸収 / 強相関電子系 / モット絶縁体 |
Research Abstract |
まず始めに、スピン密度波を基底状態に持つ物質の次元性が光学応答にどうのように反映されるか平均場近似を用いて調べた。2次元のネスティング効果は1次元や3次元におけるよりも光学応答を強めることが分かった。平均場近似のハミルトニアンは、ストレステンソルからの寄与も計算が可能であるため、二光子吸収スペクトルの計算を行った。そこで分かったことは、ゲージ対称性のためストレステンソル項からの寄与は現れず、4カレント項の寄与がギャップ中のピークを与えることである(J.Phys.Soc.Jpn.出版予定)。次に、動的平均場近似(DMFT)を用いて、第三次高調波感受率の計算を行った。DMFTの利点は強相関電子系のモット絶縁体相と金属相を同じ枠組み内で扱える点である。また、電流演算子は奇の空間対称性を持つため、DMFTの枠内ではバーテックス補正が残らない。そのため、自己無撞着に求めたグリーン関数を用いて光学応答の計算が可能となる。我々は、有限温度で使えるプログラムを開発し、金属絶縁体転移が非線形光学応答で、どのように観測されるかを調べ、近藤ピークの重みに比例するピークが非線形光学応答のスペクトルに現れることを見出した。この事実は、上部ハバードバンドの特徴を低エネルギー領域のフェルミ準位における準粒子を用いて知ることが出来ることを意味する。そして、金属絶縁体転移点上で近藤ピークの線幅が細くなっていくと共に、消えるピークとして非線形光学応答のスペクトル中に観測されるはずである。この計算で分かったもう一つのことは、第三次高調波感受率中の二光子共鳴は、三光子共鳴と同じくらいの強度まで強められることである。これまでは低次元電子系においては弱いピークとしてしか観測されていないが、今後の実験において見出されることが期待される。
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