2004 Fiscal Year Annual Research Report
地震波エンベロープ解析に基づくマントルの不均質構造の研究
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04F04318
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Research Institution | Tohoku University |
Host Researcher |
佐藤 春夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Foreign Research Fellow |
LEE Won Sang 東北大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | マントル / 不均質構造 / コアマントル境界 / ScS / 散乱係数 / D"層 / コーダQ / 韓国 |
Research Abstract |
近年,コアマントル境界付近での地震波の散乱現象を理解するために,マントルの不均質構造がいろいろな方法を用いて精力的に調べられるようになってきた.本研究では,1-20sという周期帯でのScS波のエンベロープ形状に着目して輻射伝達理論にもとづく解析を行い,不均質構造を特徴付けるS波の全散乱係数の推定を行った.これまでにIRISの9観測点における地震記録を解析し,次のような値を得た.上部マントルでは,4s帯で7.370×10^<-4>〜1.317×10^<-3>km^<-1>,10s帯で4.510×10^<-4>〜6.770×10^<-4>km^<-1>であった.下部マントルではこれより小さく,4s帯で8.300×10^<-5>〜6.230×10^<-4>km^<-1>,10s帯で2.800×10^<-5>〜2.710×10^<-4>km^<-1>であった.我々の結果は,不均質性はD"層の直近のみと言うよりも全マントルに広がっていることを示唆している.特に10s帯では,中央アジアや南アメリカ中央部の下の下部マントルで散乱が強いことが指摘できる.Sコーダ波の振幅減衰の傾向がcS相前後で変化することは,散乱減衰が内部減衰よりも強いことで説明できる.Leeは,この成果を東北大学における散乱のワークショップならびに2004年AGU秋学会(サンフランシスコ市)において発表し,現在投稿論文を執筆中である. これと平行して,韓半島におけるコーダQの空間分布の研究を行った.求められたコーダQの値は80〜300であり,中国や日本で行われた既往の解析結果と調和的である.
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