2006 Fiscal Year Annual Research Report
地震波形エンベロープ解析に基づくマントルの不均質構造の研究
Project/Area Number |
04F04318
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 春夫 東北大学, 大学院理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE Won Sang 東北大学, 大学院理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 固体地球内部構造 / 地震波 / 散乱 / マントル / 不均質 / 地殻 |
Research Abstract |
本研究は,周期数秒程度の実体波のエンベロープ形状が震源の深さや震央距離にどのように依存性しているかを解析し,地殻やマントルにおける地震波動の散乱強度の分布,ひいては不均質構造のスペクトル分布を調べることを目的としたものである.ランダムな不均質構造のスペクトル分布の震度依存性や地域依存性が明らかになれば,トモグラフィー等の従来の手法による速度不均質構造や減衰構造に関する知見と相い補って,固体地球深部の不均質構造の描像を深めることが可能となる. 今年度は,研究論文2編を国際学術誌に発表した.Lee and Sato[GRL,2006]では,近年発達した広ダイナミックレンジの地震計によって捉えられた地震波のコーダ部分を精緻に解析し,広い周波数帯域において,平均振幅の時間変化は震源からの経過時間の冪乗に従って減衰していることを発見した.これは,指数関数的減衰という従来受け入れられてきた概念を覆すものとして,高く評価された.もう一つの論文Yun, Lee, Lee and Noh[BSSA,2006]では,韓国において多数の微小地震波形を解析し,コーダQの地域性を精密に測定したものである.コーダQは地殻の活動度の良い指標と考えられているが,これまで中国と日本におけるコーダQの空間分布が調べられているのみで,韓半島は観測の空白域であった.本研究により,地殻の不均質構造の地域性をより詳しく知ることが可能となった.
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Research Products
(2 results)