2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04319
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹中 博士 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOUSTAFA Sayed S.K. 九州大学, 大学院・理学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | エジプト / ナイル川 / 地震動予測 / Stochastic simulation method / 福岡県西方沖地震 |
Research Abstract |
地中海東部一帯では3つのプレートが会合しており,地震活動が極めて活発な地域に当たる.地中海の北部一帯に比べるとエジプト国内の地震活動度は高いとはいえないが,紅海,シナイ半島近傍及びナイル川流域には規模の大きな地震が発生している.エジプトの国土は日本の約2.3倍の面積があるが大部分は砂漠が占め,主な居住区はナイル川流域の3パーセントに過ぎない.そのため人口の超過密な地域が存在する.またこの地には人類全体の遺産とも言うべき古代エジプトの遺跡が数多く存在する.本研究の目的は,このような地域の地震災害軽減をめざして,ナイル川流域の大地震を想定した強地震予測を行うことである. 平成17年度は以下の2項目を実施した. (1)1Hz以上の帯域の地震動は確定論的に合成するのが困難で実地震動記録を用いる経験的グリーン関数法や確率論的に波形を合成する統計的グリーン関数法等が用いられている.本研究では,後者の統計的手法に属するBaresnev and Atkinson (1998a)のstochastic simulation methodを適用する.この手法の有効性及びその限界をについて調べるため,2005年3月20日に起きた福岡県西方沖地震の強震動記録のモデリングを試みた.その結果,精度の良いサイト特性が強震動のスペクトルを再現するのに非常に重要であり,さらに時刻歴の再現のためにはアスペリティーのある程度正確な位置情報も重要であることがわかった.また,現方法のままでは断層延長破壊進行方法の狭い地域におけるforward rupture directivity効果の再現は困難であることもわかった.この成果の一部は,日本地震学会の秋季大会及び米国地球物理学連合(AGU)の秋季大会で発表した. (2)1Hz未満の帯域の地震動は確定論的なシミュレーションを用いて予測する.計算手法にはspectral element methodを用いる.この手法をカイロ周辺に適用するための準備をした.試験的に2次元構造断面による2次元波形計算も行った.
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