2004 Fiscal Year Annual Research Report
月計画SELENEにおける相対VLBIとドップラー計測による月重力場の精密測定
Project/Area Number |
04F04320
|
Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
河野 宣之 国立天文台, 電波研究部, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Qinghui (劉 慶会) 国立天文台, 水沢観測所, 外国人特別研究員
|
Keywords | SELENE / 相対VLBI / ドップラー / 月重力場 / 位相 |
Research Abstract |
今年度の成果を以下に示す。 1)高精度狭帯域相関処理方法の研究:SELENEのRstarとVstarの2つの子衛星を電波望遠鏡の同一ビームで観測する相対VLBIにおいて2πの不確定の除去法を提案し、全観測時間帯において位相を接続する多周波相対VLBIの実現方法を研究した。本研究により、同一ビーム観測の場合、相関位相揺らぎの要因である受信機の不安定性、電離層、大気、送受信アンテナの位相特性の影響と補正方法を明らかにし、目標の4.3度の達成が可能にした。この結果、位相遅延時間の推定精度は3.3ピコ秒可能であり、衛星の相対位置を20cmの精度で決定できることが分かった。研究成果に関する論文は準備中。 2)ドップラー技術と大気位相揺らぎの研究:Rstarに搭載する平面アンテナの位相特性を測定し、アンテナの位相特性と衛星のスピンのドプラー計測への影響を解明し、補正方法を提案した。この研究によりドプラーの測定誤差を0.2mm/sまで低減できることが分かった。VLBIの精度に大きな影響を与える大気位相揺らぎの性質と補正方法も考案した。これらの研究成果はIEEEに掲載された。 3)局内遅延の精密測定と補正法の研究:水沢10mと20mアンテナの局内遅延の相対値を精密に測定し、相対VLBI観測によりその影響が補正できることを確認した。 4)衛星の総合実験:音響実験後のVstarの信号の周波数、コマンド・テレメトリー等の性能確認を行い、狭帯域VLBI技術と4ウェイドップラー計測法の確立に参照になるデーターを得た。 5)国際VLBI観測実験:ウルムチ、上海、Hobart、水沢局の国際VLBI観測実験により、開発したVLBI観測システムと相関処理ソフトが予定の性能を有することを確認した。
|