2004 Fiscal Year Annual Research Report
GPS掩蔽データを用いた大気波動および対流圏界面の構造に関する研究
Project/Area Number |
04F04322
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
津田 敏隆 京都大学, 生存圏研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RATNAM MADINENI VENKAT 京都大学, 生存圏研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | GPS掩蔽法 / 大気波動特性 / 赤道大気 / 対流圏界面構造 / 突然昇温 |
Research Abstract |
現在GPS掩蔽観測実験中のドイツ低軌道(LEO)衛星のCHAMPで得られたGPS掩蔽観測データを用いて、以下のつ4の研究を実施した。 1)南極での突然昇温時の大気重力波特性についての研究 CHAMPで観測された温度プロファイルデータから、南半球、特に南極上空の成層圏で2002年の(南半球での)冬から春にかけて発生した突然昇温時における大気重力波特性を解析し、この期間に最大で20-30Kの温度変動が観測され、大気重力波のポテンシャルエネルギーが通常期に比べ約3倍増加したことを示した。この重力波エネルギーの増加は極渦の中心ではなく周縁部あるいは外側で見られたことから、突然昇温時における重力波エネルギーの増加とプラネタリー波、ならびに平均的な大気循環の間の相互作用について議論した。 2)DAWEXとGPS掩蔽データで観測された大気重力波特性に関する研究 2001年10-12月に行われた赤道域の気球観測実験(DAWEX)により、ヘクターにより励起された大気波動が観測された。そこで、鉛直波長3km以下の大気重力波の運動・ポテンシャルエネルギーの解析を行い、高度15-20km、25-30kmでこれらエネルギーの顕著な増加特性を明らかにした。CHAMPデータから求めたDAWEX期間中の大気重力波エネルギーの緯度・高度断面もこの特性を示している。 3)熱帯域の対流圏圏界面構造に関する研究 2001年5月から2004年12月の期間の175,149点のCHAMPデータを解析し、熱帯域の対流圏界面の構造について、これまでの理論や観測とは異なる新しい特性を発見した。これまでの理論研究では対流圏界面は赤道から中緯度に向かって徐々にその高度が低くなる(赤道を中心に"へ字"型に変化)と考えられていたが、GPS掩蔽観測値から"U字"状に高度の増加が見られる事が明らかになった。この原因として放射力学過程の可能性について検討している。 4)赤道大気上下結合(CPEA)キャンペーンで観測されたケルビン波と大気重力波特性 赤道域の7つの観測局での大気計測データを用いて、ケルビン波と重力波の時空間変化を調査した。また、CHAMPデータからそれらのグローバルな特性を調べた。その結果、温度と東西風で6-7kmの鉛直波長と10-12日の周期を持ち、時間・経度断面で位相が東進する変動がインド洋と西太平洋上空で広く発生していることを示した。この変動は高度17-25kmでQBOによる背景風で振幅を強められている。
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Research Products
(3 results)