2004 Fiscal Year Annual Research Report
エジプトカルーン湖堆積物による古気候変動復元およびリンと鉄収支との関係に関する研究
Project/Area Number |
04F04324
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茅根 創 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BAIOUMY Hassan Mohamed 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 古環境変動 / 古湖環境 / X線分析顕微鏡 / エジプト / ナイル川 / リン灰石鉱床 |
Research Abstract |
エジプドのナイル川下流のカルーン湖において採取したコア試料分析のための準備を行った.先ず,コアから切り出したスラブ(板状試料)のソフトX線撮影を行い,コアの堆積相の解析を行った.また,コアの古地磁気測定を行い,採取したコアが過去4500年間の連続した堆積記録を保存していることを明らかにした.本コアの解析によって,過去4500年間のナイル川の流量変動や,もたらされるリンや鉄元素のフラックス,カルーン湖の古水位や,古環境変動を明らかにすることができる.コアの主要元素組成をX線分析顕微鏡(XGT)によって連続的に分析するための準備を始めた.本年度は,コアからいくつかの試料を採取して,従来法による蛍光X線分析(XRF)による測定とXGTによる測定とを比較して,両者の間に大きな差がないことを確認した. エジプトにおけるリン灰石鉱床の成因について,これまでの成果をまとめた.エジプト上部白亜系のリン灰石鉱床は,エジプトの主要鉱産資源であるが,起源や形成機構について,これまで諸説が入り乱れ決着がついていなかった.リン灰石層の層序対比と産状記載,鉱物・化学分析によって,このリン灰石が,大陸棚外縁で形成された自生のリン灰石質泥岩が,侵食・運搬・再堆積することによって形成されたこと,こうした濃集過程にグローバルな海水準変動が関わっていたことを明らかにした.
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