2004 Fiscal Year Annual Research Report
非周期ドメイン反転構造を有する非線形光学結晶を用いたフェムト秒光パルスの時空間制御
Project/Area Number |
04F04333
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
志村 努 東京大学, 生産技術研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZENG Xianglon 東京大学, 生産技術研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 擬似位相整合 / 周期分極反転素子 / カスケーディング2次非線形光学効果 / 光ソリトン |
Research Abstract |
近年、強誘電体分極反転素子中で波長変換の多段階の誘起過程であるカスケーディング非線形光学効果により、超短光パルスの波長変換と同時に、光パルス圧縮が可能であることが研究代表者らにより見出され、実証された。これは2次非線形光学媒質中での光パルスのソリトン伝播を利用したものであるが、これをさらに進め、超短光パルスの時間波形だけでなく空間波形も同時に制御することを目的として研究を行っている。 現在、非線形光学材料としては時間・空間的に一様であるにもかかわらず、わずかな入力光の揺らぎから時間・空間的な規則パターンが出現する現象であるmodulation instabilityについて、数値計算と実験の両面から解析を進めつつある。本研究の目的である時空間波形制御にとって、この現象は一つの大きな鍵となる。カスケーディング非線形光学効果は、位相整合条件からのわずかなずれにより、基本波、第2高調波の双方が変調される現象であり、その変調度は位相整合を満足する中心の時間周波数、空間周波数からのずれに依存する。その結果時間・空間双方のスペクトルの形状が変化し、フーリエ合成の結果時間・空間波形も変化する。われわれは基本波・第2高調波の入出力関係をゲインで表わし、これを時間・空間周波数の関数として数値的に求めた。現在この結果を検証する実験の準備中である。非線形結晶としては、周期分極反転LiNbO_3を用いる。 また、より基礎的な検討として、実際に作製される周期分極反転素子の設計値とのずれが波長変換の効率、スペクトル幅、パルス幅等に及ぼす影響に関してシミュレーションを行っている。光の伝播方向に対しては周期の揺らぎ、素子の深さ方向には分域壁の垂直からのずれが問題となる。結晶としてはLiNbO_3およびLiTaO_3を想定している。
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