2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04348
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小田 俊理 東京工業大学, 量子ナノエレクトロニクス研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOHAMMED Khalafalla 東京工業大学, 量子ナノエレクトロニクス研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | ナノ結晶シリコン / 量子ビット / 量子情報デバイス / 分散溶液 / ドット集積化 / 準分子状態 / コヒーレント相互作用 |
Research Abstract |
高濃度ナノ結晶シリコン薄膜上に形成した量子ポイントコンタクトトランジスタを用いて、強く結合した多重シリコン量子ドットにおける量子輸送現象を解析した。トンネルコンダクタンスのソース・ドレイン電圧およびゲート電圧依存性を、温度4.2Kにおいて詳細に評価したところ、クーロンギャップ内にトンネルコンダクタンスの共鳴ピークが生じ、またそのピーク電圧がゲート電圧に線型比例して変化することを見出した。この現象は、シリコン量子ドット内に局在した単電子のスピンと、ソース・ドレイン領域内の自由電子間の強い相互作用(近藤効果)に起因しているものと思われ、今回用いたナノ結晶シリコン薄膜において、ドット間のトンネルバリアが非常に薄いために観測されたものと考えられる。また、ゼロ電圧近傍での近藤共鳴ピークの半値幅から見積もられた近藤温度は約45Kと、これまでに報告されている他の材料系での値より高く、ドット内単電子と自由電子間の結合が強いことを裏付けている。この結果は、シリコンベースの電子スピン量子ビットを検討する上での重要な知見を与えるものである。 更に、シリコン量子ドットが基板から受ける干渉を排除し、2重ドット間の相互作用を高精度に評価することを目的として、ナノ結晶シリコン薄膜下の酸化膜を犠牲層としてアンダーカットし、量子ポイントコンタクトトランジスタのチャネルを基板から浮かせた量子ポイントコンタクトブリッジを作製するプロセスを確立した。
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