2006 Fiscal Year Annual Research Report
鋼材の付着を制御した鉄筋コンクリート構造物の地震被害軽減に関する研究
Project/Area Number |
04F04354
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
睦好 宏史 埼玉大学, 理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PANDEY GOVINDA RAJ 埼玉大学, 理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 耐震性能 / RC部材 / 付着 / 靭性能 |
Research Abstract |
本研究は、鉄筋コンクリート(RC)構造物の地震被害を軽減させるために、RC部材の鉄筋の付着性能を制御することによるせん断破壊の防止と靱性能の向上を柱部材の実験および解析により明らかにしたものである。 本研究から以下のことが明らかとなった。 1)RC柱部材の軸方向鉄筋に、異形鉄筋、丸鋼、アンボンド筋のように異なる付着性能を有する鋼材を配置した部材を作製し、正負交番載荷実験を行った。その結果、通常の異形鉄筋を用いた部材ではせん断破壊が生じたが,丸鋼あるいはアンボンド筋を用いた部材では、破壊形式が曲げ破壊となり,じん性能が大幅に改善されることが明らかとなった。 2)軸方向鉄筋の付着性能を、アンボン筋、異形鉄筋のように混在させた場合、異形鉄筋から曲げひび割れが生じ、せん断破壊に至ることが明らかとなった。このことは、鉄筋量の大小によらず、異形鉄筋による曲げひび割れがせん断ひび割れへと発展していくことが明らかとなった。 3)軸方向鉄筋の付着を切ることによって、柱部材の変形は、基部のみに損傷が集中し、剛体に近い変形性状になることが明らかとなった。 4)上記の性状を解析的に明らかにするために、2次元FEMを用いて、軸方向鉄筋の付着性状を表現できるモデルを開発して、解析を行った。その結果、鉄筋の付着を制御することにより、耐荷挙動が、せん断スパン内に圧縮ストラットを形成したタイドアーチ的な耐荷機構に変化することによって、大幅にせん断耐力が向上することが明らかとなった。 以上のことから、せん断補強筋量を従来の耐震設計で必要とされる量よりも著しく減少させることができ、経済的、構造的に大きなメリットがあることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)