2006 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電性薄膜および電気磁気効果を示す酸化物微粒子の光電子分光および蛍光測定による研究
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04F04368
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤森 淳 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIN Yuan Hua 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 遷移金属酸化物 / 誘電体 / 光電子分光 / ナノ構造 / エピタキシャル薄膜 / パルスレーザーが堆積法 |
Research Abstract |
昨年度行った酸化物強誘電体Ba0.5Sr0.5TiO3薄膜のTi2p内殻から非占有Ti3d軌道への軟X線吸収領域の光電子分光の温度変化解析を進め,膜厚の変化に対する強誘電状態の安定性の変化をより詳細に議論した.引き続いて,CoをドープしたZnO薄膜,FeをドープしたNiO薄膜について,Liを同時にドープしてキャリアー制御した酸化物希薄磁性半導体薄膜を作製し,放射光を用いた光電子分光実験・軟X線吸収実験をおこなった.光電子分光実験は,東京大学の実験室光源を用いた測定も行った.試料作製は清華大学との共同研究,放射光実験は日本原子力研究機構放射光科学研究ユニットとの共同研究として行った. FeをドープしたNiO薄膜については,Liドープによって磁化が増加することを見出し,Liドーピングによって注入したホールがFeの磁気モーメントを揃える"キャリアー誘起強磁性"の機構がこの系でも有効であることを示した.これらのNiO:Fe薄膜試料について,放射光を用いた酸素1s内殻準位から伝導帯への軟X線吸収スペクトルを測定し,Ni2+イオンの非占有状態であるNi3d9への遷移と,ホール注入によってNi3d9ピークの低エネルギー側に現れるピーク(プレ・ピーク)を観測した.Ni2p内殻光電子スペクトルに関しては,2p_<3/2>-2p_<1/2>スピン軌道分裂とそれぞれのスピン-軌道成分に主ピークと電荷移動サテライトを観測した.Liドーピングに伴い,Ni2P内殻光電子スペクトルの形状はほとんど変らず,低結合エネルギー側へのわずかな(0.44eV)シフトが観測されたが,Li量が増加してもさらなるシフトは観測されなかった.
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Research Products
(3 results)