2005 Fiscal Year Annual Research Report
典型元素の特異な構造特性を利用した機能性分子の創製
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04F04387
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Research Institution | Nagoya University |
Host Researcher |
山口 茂弘 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Foreign Research Fellow |
ZAHO Chi-Hua 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | トリアントリルボラジン / ホウ素 / デンドリマー / π電子系 / 電子輸送性 / 蛍光特性 / オリゴ(フェニレンエチニレン) / 固体 |
Research Abstract |
新規有機π電子系材料の開発では,固体状態での3次元構造を考慮して設計することが重要となる.本研究では,典型元素の特異な構造特性を最大限に活かした分子設計により,3次元構造を制御した新たな機能性材料の構築することを目的とし,具体的には典型元素の中でも特にホウ素に着目し,ホウ素を含む幾つかの新規π電子系の合成を進めている.前年度では,ホウ素と窒素から成る6員環であるボラジン骨格を核構造に用いた新たなπ共役電子系の合成に取り組み,この骨格に導入するデンドリティック構造をもつホウ素置換基の開発を行った.第2世代までのホウ素置換基の合成に成功し,それらがπ電子系の側鎖として特異な置換基であることを明らかにした.そこで本年度は,この置換基の光物性に及ぼす効果についてさらに詳細な検討を行ったところ,オリゴ(p-フェニレンエチニレン)骨格に導入することにより,固体状態で強い蛍光をもつ材料の創製を達成した.立体的にかさ高いホウ素置換基を導入し,オリゴ(p-フェニレンエチニレン)骨格を非平面的に固定し,かつ,π共役の広がりをホウ素の空のp軌道を介した共役により短軸方向に拡張することにより,特異なπ電子構造をもつ分子系ができ,これらは溶液,固体を問わず強い蛍光を示し,その量子収率は90%以上の値であった.新たな蛍光発光性材料として十分に期待できる.このように光物性に及ぼす効果については大分明らかになりつつある.今後トリアントリルボラジン骨格への導入を行い,電子輸送性をはじめとする電子特性への効果について検討する予定である.
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Research Products
(1 results)