2006 Fiscal Year Annual Research Report
「典型元素の特異な構造特性を利用した機能性分子の創製」
Project/Area Number |
04F04387
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Research Institution | Nagoya University |
Host Researcher |
山口 茂弘 名古屋大学, 大学院理学研究科, 教授
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Foreign Research Fellow |
ZHAO Cui-Hua 名古屋大学, 大学院理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ボラジン / ホウ素 / π電子系 / 蛍光特性 / 固体 / オリゴ(p-フェニレンエチニレン) |
Research Abstract |
新規有機π電子系材料の開発では,固体状態での3次元構造を考慮して設計することが重要となる.本研究では,典型元素の特異な構造特性を最大限に活かした分子設計により,3次元構造を制御した新たな機能性材料の構築することを目的とし,具体的には典型元素の中でも特にホウ素に着目し,ホウ素を含む幾つかの新規π電子系の合成を進めている.前年度までに,ホウ素と窒素から成る6員環であるボラジン骨格を核構造に用いた新たなπ共役電子系の合成に取り組み,この骨格に導入するデンドリティック構造をもつホウ素置換基の開発を行った.その過程でπ電子系の側鎖として導入したホウ素置換基が,固体状態での著しく強い蛍光特性の実現に極めて有効であることを見いだした.そこで本年度は,この特性の詳細な理解を目的に一連のホウ素置換基をもつオリゴ(p-フェニレンエチニレン)類の合成と物性評価を行った.構造-物性相関についての系統的な評価から,ビスボリルフェニレンユニットが,1)立体的かさ高さにより分子間相互作用を阻害し,Dexter過程による消光を抑制すること,2)分子内の電子供与性置換基との組み合わせによる分子内CT発光の実現によりForster過程による消光を抑制すること,の2つの観点で有効に働き,強い蛍光特性が実現されていることが分かった.また,このユニットをさらに一般性の高い構造単位にするために,長鎖のアルキル基を導入した新たなジアリールボリル基を開発し,この置換基を導入した一連のパイ共役高分子の合成を行い,それらが興味深い光物性をもつことも明らかにした.
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