2004 Fiscal Year Annual Research Report
炭素資源の活用を目指した複合触媒系炭素-炭素結合生成反応の開発
Project/Area Number |
04F04395
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Research Institution | The University of Tokyo |
Host Researcher |
中村 栄一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
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Foreign Research Fellow |
HAJRA Alakananda 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 触媒的炭素-炭素結合生成反応 / 不飽和炭化水素 / インジウム / 亜鉛 / 不斉触媒 / アルキン / アルケン / カルボニル化合物 |
Research Abstract |
本研究では多金属中心型の分子触媒のデザインと創製を通じて,単純アルケン・アルキンなどの炭素資源の有効活用に資する新規炭素-炭素結合生成反応の開発を目指している. 初年度である本年度は,単一触媒系での活性メチレン化合物の単純アルキン類への付加反応の検討と,その生成物であるαビニルβケトエステルの化学変換反応を検討した.まずインジウムを触媒として,アリルアルコールと3-オキソーブタン酸から調製したケトエステルとフェニルアセチレンの付加反応を検討した.ルイス酸性の高いインジウムトリフラートを用いたが,エステル部分の分解は見られず,β位に1-フェニルエテニル基が導入された生成物を定量的に得ることが出来た.この生成物は,辻等によって報告されたパラジウム触媒を用いる脱炭酸反応によってα位にアルケニル基とアリル基を持つ4級炭素を有する化合物へと触媒的に変換できることを見出した.さらにこの脱炭酸-アリル化反応系に種々の光学活性ホスフィン配位子を添加する検討を行なったところ.Trostらの開発したビスホスフィン配位子やPfaltzらの開発したホスフィン-オキサゾリン配位子を用いた時に,30%程度とこれまでのところ低選択性ではあるが,不斉有機現象が起ることを見出した.次年度は,本反応の条件,配位子の最適化による高選択性の達成を目標とする. さらに,オレフィン類への触媒的付加反応を可能とするようなインジウム,ホスフィンあるいは亜鉛,ホスフィン複合触媒系の開発を目指し,探索実験を開始する.
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