2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04398
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
八島 栄次 名古屋大学, 大学院工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIN Hongzhen 名古屋大学, 大学院工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | らせん反転 / 光学活性 / 蛍光 / キラル / 誘起円二色性 / ポリフェニルアセチレン / 高分子 |
Research Abstract |
側鎖に光学活性な置換基を有するポリフェニルアセチレンは一方向巻きのらせん構造を形成し,主鎖の共役二重結合領域に誘起円二色性(ICD)を示すことが報告されている。また,一部の光学活性ヘリカルポリフェニルアセチレンは,温度や溶媒,光学活性体の添加といった様々な外部刺激に応答してらせん反転を示すことが知られている。本研究では,側鎖に光学活性なピレン部位が導入されたポリフェニルアセチレン誘導体(poly-(R)-1)を合成し,そのらせん構造や発光特性を外部刺激により制御可能かどうかについて検討した。Poly-(R)-1は,対応する光学活性モノマー((R)-1)を少量のEt_3Nを含むDMF中,[Rh(nbd)Cl]_2を触媒に用いて重合することにより合成した。Poly-(R)-1は,LiClを含むN, N-ジメチルアセトアミド(DMA-LiCl)中,0℃で主鎖の共役二重結合領域に一方向巻きのらせん構造に由来するICDを示した。また,DMA-LiCl中におけるpoly-(R)-1のICDの符号は温度の上昇とともに反転し,55℃では符号が正のICDを示した。さらに,poly-(R)-1のDMA-LiCl溶液にCHCl_3やTHFを添加すると,25℃で符号が正のICDを示したのに対して,MeOHを添加すると負のICDを示した。以上の結果は,poly-(R)-1のらせんの巻き方向が,溶媒や温度といった外部刺激に応答して反転することを示している。次に,poly-(R)-1のDMA-LiCl希薄溶液の蛍光スペクトルを測定したところ,ピレンのエキシマー形成に由来するブロードな発光が430mm付近に観測された。同じ条件下での(R)-1の蛍光スペクトルは,エキシマー形成に由来する発光を示さなかったことから,ポリマーの側鎖間でエキシマーが形成されていることが示唆された。また,溶媒や温度の変化に対して,エキシマー形成に由来する発光強度は変化したことから,外部刺激によりpoly-(R)-1の発光特性を制御可能であることが明らかになった。
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