2004 Fiscal Year Annual Research Report
模擬生体環境における金属材料の生体親和性の電気化学的評価
Project/Area Number |
04F04421
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Research Institution | Osaka University |
Host Researcher |
藤本 愼司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授
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Foreign Research Fellow |
TANG Yee-Chin 大阪大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 生体材料 / 細胞培養 / 生体親和性 / Ti合金 / 不働態皮膜 / 耐食性 |
Research Abstract |
各種模擬生態環境中での電気化学測定の手始めとして、分極抵抗法による模擬生体環境中でのTi合金の挙動を検討した。模擬環境として、無機成分のみを含むHanks溶液とたんぱく質、糖類などを含み動物細胞の培養が可能なMEM培地溶液を無菌状態で用いた。TiおよびTi合金ならびにオーステナイト系ステンレス鋼のこれらの溶液中での電位と腐食抵抗を連続的に同時測定した。この測定は無菌状態で行う必要があり、インキュベータ内での無菌状態遠隔電気化学測定システムを確立した。これより、TiおよびTi合金の腐食電位と抵抗は単調に上昇するのに対し、ステンレス鋼では、いったん腐食電位と抵抗は上昇した後に、電位のみふたたび低下することがわかった。TiおよびTi合金では酸化物皮膜の生成・成長が金属のアノード溶解を抑制するのに対し、ステンレス鋼では酸化物皮膜の生成・成長が金属のアノード溶解を抑制するとともに、酸素還元速度に対しても抵抗となることがわかり、両材料間の酸化還元挙動の差異が明らかになった。 さらに、動物細胞の培養を開始し、無菌状態を保った状態での電気化学測定を円滑に進めるための、試料容器、測定手順を開発を行った。用いた細胞はマウスの繊維芽細胞L929細胞で、これまでにTiおよびTi合金の細胞培養下での電気化学的に挙動のその場測定に成功した。 一方、外部応力下でのTi合金の腐食挙動の検討をおこなった。材料を上記溶液中で定電位保持し、急速なひずみを与えて表面皮膜を破壊し、そのとき生じる新生面の溶解と再不働態化に至る過程を評価した。その結果、TiとTi合金とでは皮膜破壊挙動が異なり、純Tiはすべり変形を生じないと表面皮膜が破壊されないのに対し、Ti合金では弾性変形時での伸びのみで皮膜破壊が生じることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)