2005 Fiscal Year Annual Research Report
模擬生体環境における金属材料の生体親和性の電気化学的評価
Project/Area Number |
04F04421
|
Research Institution | Osaka University |
Host Researcher |
藤本 愼司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授
|
Foreign Research Fellow |
TANG Yee-Chin 大阪大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 生体材料 / 細胞培養 / 生体親和性 / Ti合金 / 不働態皮膜 / 耐食性 |
Research Abstract |
外科、歯科等の医療用インプラント材料にはTiとその合金、Co-Cr-Mo合金、およびステンレス鋼が多く使われているが、現状ではSUS316L等のオーステナイト系ステンレス鋼が広く用いられている。水溶液環境である生体内での金属材料の腐食損傷は電気化学反応であるが、電気化学測定を無菌状態で長期間実施するには様々な障害がともなう。本研究では、SUS316LとSUS304について、細胞培養下を含む各種模擬生体環境下での電気化学挙動の7日までの連続評価を行った。腐食電位および分極抵抗の連続測定では、無機溶液、糖類等を含むHanks溶液、さらにアミノ酸を添加したMinimum Essential Medium (MEM)では通常の塩化物水溶液中と同様であった。しかし、MEMに血清を加えた培地では電位は低下しさらに腐食抵抗に相当する分極抵抗は低下した。しかし、前記培地溶液を用いて試料上にマウス繊維芽細胞L929を播種して増殖させた場合には、培地中と同様分極抵抗当初低下したが、3日を経過した頃より、分極抵抗は増加に転じた。これは、細胞の被覆率の増大に対応しており、細胞の存在は溶存酸素の拡散を妨げ、腐食反応のカソード過程である酸素還元反応を抑制することが分かった。一方、細胞培養時には局部腐食を生じやすくなっており、付着細胞が形成する閉塞空間がすき間腐食効果を生じ、塩化物イオン、水素イオンの濃縮をもたらし、局部腐食を生じやすく作用したと結論付けることが出来た。 以上のように、本研究では細胞培養を含む各種模擬生態環境下での電気化学測定法を確立しステンレス鋼の腐食挙動に及ぼす生体環境の影響を検討することが出来た。
|
Research Products
(1 results)