2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04427
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 正知 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MANJANNA Jayappa 北海道大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 放射性廃棄物 / 地層処分 / ベントナイト / 鉄腐食生成物 / 拡散 |
Research Abstract |
高レベル放射性廃棄物の地層処分では、処分後、粘土(Na型ベントナイト)緩衝材中の炭素鋼製容器(オーバーパック)が徐々に腐食し、鉄腐食生成物が粘土緩衝材-オーバーパック界面に蓄積する他、Fe^<2+>イオンの一部は粘土中に拡散して、Na型ベントナイトをFe型に変質させ、緩衝材の性能を劣化させることが懸念されている。一方、これとは逆に、鉄腐食生成物あるいはFe型ベントナイトが特定の放射性核種を固定化し、その移行を遅延させる可能性も期待されている。しかしながら、このような観点からの研究は極めて限られており、処分環境下での実験を含めた詳細な検討が求められている。 そこで、本研究では、粘土中の鉄の腐食および鉄腐食生成物の化学的挙動に関する研究を行った。研究初年度である平成16年度は、ベントナイトの鉄型化に関する既往の研究のレビューを行うとともに、ベントナイトの鉄型化に関する実験に着手した。実験では、2価あるいは3価の鉄イオンを含む溶液にアルカリを加えて加水分解し、さらにそれを室温あるいは65℃にて熟成させた際の、ベントナイト層間における架橋体形成反応の有無をX線回折法によって調べた。また、Fe(III)型ベントナイトならびに熟成後の試料を大気雰囲気下で150℃に加熱処理した試料に対しても、同様の分析を行った。この結果、ベントナイトの層間距離(d_<001>距離)は、熱処理等の違いにより異なることが明らかになった。これは、一部の条件においてベントナイト層間に架橋体が形成されている可能性を示唆するものである。こうした架橋体形成反応については、今後、赤外分光、メスバウアー分光、BET比表面積測定法などによって詳細に調べる予定である。
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