2004 Fiscal Year Annual Research Report
高二酸化炭素濃度条件が水田土壌中の可溶態炭素とメタン放出に及ぼす影響
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04F04429
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Research Institution | Chiba University |
Host Researcher |
犬伏 和之 千葉大学, 園芸学部, 教授
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Foreign Research Fellow |
LOU Y. 千葉大学, 園芸学部, 外国人特別研究員
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Keywords | メタン / 水田 / 生成活性 / 温度条件 / 水稲 / 根圏 / メタン生成菌 / 分泌炭素 |
Research Abstract |
化石燃料の大量使用と森林の減少によって、大気中の二酸化炭素濃度が上昇し地球温暖化を引き起こしつつあることは、すでに広く知られているが、増加する大気二酸化炭素濃度が農業生態系に及ぼす影響はまだ完全には理解されていない。人類の約1/3以上の食糧生産の場である水田における大気二酸化炭素濃度上昇の影響は、1998年から農業環境技術研究所を中心として世界で初めて岩手県の開放系水田で試験されてきた。その試験の一環として、受入れ予定研究者の犬伏らは大気二酸化炭素濃度の増加で水田からのメタン放出が増大する可能性を指摘したが、メタン生成過程が二酸化炭素と有機酸という2つの異なる基質からの生成経路があり、また生成されたメタンの一部は土壌中や水稲根圏で酸化されるので、その詳細な増加メカニズムは未知である。本研究ではメタン生成菌の基質となる可溶性有機態炭素に注目し、水稲根からの分泌量や組成および有機物分解量を大気二酸化炭素濃度上昇条件下で測定し、さらにメタン生成活性や大気への放出量との関係を明らかにすることを計画した。本年度は岩手県の試験水田で落水後に採取された表層土壌と次表層土壌を2段階の温度条件(25℃と30℃)で40日間密閉培養し、その間の生成メタン量、二酸化炭素量、可溶態炭素量を測定した。その結果、高二酸化炭素条件下の水田土壌は対照区土壌に比べてメタン生成活性が次表層で高く、表層で低いことが見出された。また可溶態炭素量はいずれの土層でも高二酸化炭素条件下のほうが対照区より多いことが見出された。次年度の実験にむけて、根からの分泌炭素量が異なる水稲品種を文献検索し研究機関にその後の研究経過を照会している。
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Research Products
(1 results)