2005 Fiscal Year Annual Research Report
デオキシ及びデオキシアミノ-5-チオヘキソピラノースの合成とこれらを糖部に持つ抗生物質誘導体の合成
Project/Area Number |
04F04434
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Host Researcher |
上西 潤一 京都薬科大学, 薬学部, 教授
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Foreign Research Fellow |
PI Jinhong 京都薬科大学, 薬学部, 外国人特別研究員
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Keywords | チオ糖 / スクロース / グリコシル化 / 5-チオグルコース |
Research Abstract |
本研究目的は、環内酸素原子を硫黄原子に変換した硫黄糖の合成を行ない、酸素糖との違いを生理活性試験を通じて明らかにすることである。そしてそれに加えて、その合成過程におけるグリコシル化反応について酸素糖と硫黄糖の化学的な違いも明らかにすることである。具体的には、蔗糖(スクロース)のグルコース部分を5-チオグルコースに置き換えた硫黄蔗糖を合成することを目標とした。 平成17年度の本研究において、次のような結果を得ることが出来た。即ち、昨年に続き、既に文献上で報告した通りの合成方法に沿って、14段階で大量の5-チオグルコースの大量合成を行なった。次に5-チオグルコースをグリコシルドナーに用いて、フルクトースをアクセプターに用いるグリコシル化反応とフルクトースをグリコシルドナーに5-チオグルコースをアクセプターに用いる二つの方法を検討した。5-チオグルコースをグリコシルドナーに用いて、モデルの2級アルコールをグリコシル化すると、硫黄の強力なアノマー効果によりα-グリコシル体が選択的に得られた。しかしながら、フルクトースではその2位水酸基がヘミアセタールであり求核性が弱くまた立体的な要因も加わり、全く反応生成物は得られなかった。一方、フルクトースをドナーとする酸素糖ではグリコシル化が進行することが確かめられたことから、現在では5-チオグルコースをアクセプター側に用いて、フルクトースをグリコシルドナーに用いる事が適当であるとの結論に至った。 蔗糖はグルコースが1α位で、フルクトースが2β位で結合しているが、この周辺の立体化学は極めて込み入っている。5-チオ蔗糖の合成は硫黄原子の特性の影響を受け得入れながら、かつ混雑する立体化学を克服して二糖のグリコシル化を達成しなければならないという極めてチャレンジングな目標である。
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