2006 Fiscal Year Annual Research Report
デオキシ及びデオキシアミノ-5-チオヘキソピラノースの合成とこれらを糖部に持つ抗生物質誘導体の合成
Project/Area Number |
04F04434
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Host Researcher |
上西 潤一 京都薬科大学, 薬学部, 教授
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Foreign Research Fellow |
PI Jinhong 京都薬科大学, 薬学部, 外国人特別研究員
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Keywords | チオ糖 / スクロース / グリコシル化 / 5-チオグルコース |
Research Abstract |
本研究目的は、環内酸素原子を硫黄原子に変換した硫黄糖の合成を行ない、酸素糖との違いを生理活性試験を通じて明らかにすることである。そしてそれに加えて、その合成過程におけるグリコシル化反応について酸素糖と硫黄糖の化学的な違いも明らかにすることである。具体的には、蔗糖(スクロース)のグルコース部分を5-チオグルコースに置き換えた硫黄蔗糖を合成することを目標とした。以下平成18年度の本研究成果をまとめた。 昨年度の研究成果により、5-チオグルコースをグリコシル受容体にフルクトースをグリコシル供与体として、グリコシル化反応を検討した。様々な活性化剤をもちいて供与体を活性化したところ、イミデートとホスフェートに対してTMSOTfを用いる方法が最も良いことが分かった。しかしながら、5-チオグルコース側はα側で結合がおきるが、フルクトース側は2βで結合形成がおき、5-チオイソスクロースが得られた。即ち、フルクトース側の2位立体異性体が得られたことになった。この問題を解決すべく、1,4位をシリル基を使ってブリッジを掛けた誘導体を合成しグリコシル化反応を試みたが、無反応に終わった。この反応における問題点は3位に存在する3βの水酸基であろう。この水酸基の方向からグリコシル化が起きなければ目的の5位硫黄置換の蔗糖は得られない。合成的には3β水酸基を一時的にでもα側に反転し、グリコシル化後に再び反転させる方法が残されていると考えている。 蔗糖はグルコースが1α位で、フルクトースが2β位で結合しているが、この周辺の立体化学は極めて込み入っている。5-チオイソスクロースではフルクトースが2αで結合しており、おそらくその立体化学の相違からと考えられるが、全く甘味を呈さなかった。
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