2006 Fiscal Year Annual Research Report
人工亜鉛フィンガーペプチドの創製、DNA認識および遺伝子制御
Project/Area Number |
04F04435
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
杉浦 幸雄 同志社女子大学, 薬学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DHANASEKARAN Muthu 同志社女子大学, 薬学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 亜鉛フィンガー / ペプチドデザイン / 分子設計 / DNA認識 / 遺伝子制御 / 認識モチーフ / 人工ペプチド / ヘリックス構造 |
Research Abstract |
本研究においては、生物に普遍的に存在している亜鉛フィンガータンパク質の亜鉛元素の選択則や亜鉛フィンガーモチーフ構造と機能の相関性などを明らかにすることを目指した。本年度は亜鉛フィンガーモチーフ内部の疎水性コアの構造的・機能的役割について追究するため、野生型および種々の変異型GAGAファクターペプチドを設計・合成し、ヘリックス構造形成やDNA結合能に対する疎水性アミノ酸、特にフェニルアラニンの影響を調べた。その結果、GAGAペプチドにおけるアラニンやイソロイシンをフェニルアラニンに置換した変異体は、電子スペクトルおよびCDスペクトルから亜鉛配位や亜鉛フィンガーモチーフ構造形成に関しては、天然の野生型GAGAファクターのそれらと極めて類似した性質を示した。しかしながら、DNA結合性に関しては野生型ペプチドとは全く異なり、変異型ペプチドでは標的DNA配列には結合しなかった。この結果はカロリーメーター測定とも一致していた。簡単なエネルギー計算結果から、GAGAファクターのアラニンやイソロイシンのフェニルアラニンによる置換は、主に立体障害によってGAGAペプチドの亜鉛フィンガーモチーフの疎水環境を壊すことが示唆された。他方、Sp1やZif268などの多くの亜鉛フィンガーモチーフの疎水環境の形成には必須であることがエネルギー計算から支持された。本結果はGAGAファクターの亜鉛フィンガータンパク質における特異な位置付けを強く示している。さらに、GAGAファクターとTramtrackタンパク質との人工キメラ亜鉛フィンガータンパク質のDNA結合実験からは、リンカー配列の重要性が明らかにされるなど、幾つかの価値ある知見が本研究から得られた。
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