2004 Fiscal Year Annual Research Report
痛覚刺激に対する脳反応の睡眠中の変化:脳磁図とfMRIを用いた研究
Project/Area Number |
04F04438
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
柿木 隆介 生理学研究所, 総合生理研究系, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG X 生理学研究所, 総合生理研究系, 外国人特別研究員
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Keywords | 脳時図(MEG) / 睡眠(sleep) / 痛み(pain) / Somatosensory |
Research Abstract |
本研究課題では痛み刺激に対する脳反応の睡眠中における変化を検索することを目的として、体性感覚誘発脳磁図(somatosensory evoked magnetic fields, SEFと略)を記録した。 痛覚認知は人間にとって極めて重要であるが、その認知機序の詳細は未だ明らかにされていない。興味ある点の1つに睡眠中の認知機能の変化がある。はたして、睡眠中には我々の脳はどのように痛み刺激に対して反応しているのであろうか。先ず、覚醒時に針電極刺激法(A-delta線維を選択的に興奮させる)による誘発されたPain-specific SEFを記録した。刺激対側半球と同側半球では明瞭な磁場成分1Mと1M(i)が記録された。平均頂点潜時は対側で148ms、同側157msであり、対側に比べ、同側の反応が約10ms遅れる。次に睡眠時にStage1 sleepとStage2 sleepにデータを記録したが、深い睡眠のstage3とstage4に被験者の動きが激しいですから、データを取らなかった。この1Mと1M(i)成分はsleep時には明瞭に減弱もしくは消失することから、痛覚誘発脳磁場の主要な成分が被験者の覚醒度に影響されることが分かった。痛覚誘発脳磁場の主な成分の発生源について、多信号源解析法を用いて検討した。対側のSI、両側のSIIとInsula、同側のMT、とCingulateに活動源が認められた。MTは内側部側頭葉、Medial temporal areaであり、扁桃体或いは海馬に相当する位置だ。対側のSI、SII、Insulaの頂点潜時は約150msで、1M成分に相当すると考え、同側のSIIとInsulaの頂点潜時は約160msで、1M(i)成分に相当すると考える。一方、MTとCingulateの頂点潜時は約190msで、1Mより遅い磁場成分にMTとCingulateからの活動が含まれることが分かった。すべての活動源の活動は、睡眠時にほとんど消失した。 そこで本年度は、痛み刺激に対する脳反応の睡眠中における変化を検討した。侵害性刺激により誘発されたSI、SII、島、帯状回とMTの脳活動は、睡眠時に小さくなったから、これらの活動は痛覚認知に関連することと考えられる。
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