2005 Fiscal Year Annual Research Report
痛覚刺激に対する脳反応の睡眠中の変化:脳磁図とfMRIを用いた研究
Project/Area Number |
04F04438
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
柿木 隆介 生理学研究所, 統合生理研究系, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
X Wang 生理学研究所, 統合生理研究系, 外国人特別研究員
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Keywords | 脳磁図(MEG) / 痛み(Pain) / Somatosensory |
Research Abstract |
レーザー刺激は選択的に侵害性受容体を興奮し、A-delta線維という細い求心性神経線維によって侵害情報が中枢側へ伝えられる。レーザーで刺激する時には、表皮内の侵害性受容体が温度の伝導によって活動化させるので、潜時のずれが試行毎に発生することが考えられる。この潜時のずれによって、活動持続時間の短い反応は従来の加算平均(conventional average, C-AVE)ではキャンセルされるかもしれない。従って、われわれは今回単一トライアル解析法(Single trial analysis)と潜時調整加算平均法(latency-adjusted average, L-AVE)を使って、レーザー刺激により誘発された脳反応にキャンセルされた成分はあるかどうかを調べた。C-AVEとL-AVE両者共に対側の頭頂葉と両側の側頭葉に明瞭な磁場成分が記録された。この主要な磁場成分の発生源は対側の第一次体性感覚野(SI)と両側の第二次体性感覚野(SII)/島に推定された。各発生源の位置とダイポールの向きはC-AVEとL-AVE両者の間に有意な差な認められなかった。更に、各発生源のgoodness of fit(GOF)はC-AVEより、L-AVEの方は有意に大きくなったことから、本研究に使っていた単一トライアル解析法と潜時調整加算平均法は適切だと考える。レーザー刺激による誘発された主要な磁場成分の前に、微弱な磁場成分が記録された。この微弱な反応は、C-AVEより、L-AVEの方は、遥かに明瞭である。この弱い反応の発生源は、GOFが低いためにダイポール推定ができなかったが、主成分発生源の推定に用いたチャンネルに認められたことから、主成分発生源に近い或いは同じ位置にすることが考えられる。第二次体性感覚野(SII)/島に記録された微弱反応のonsetと頂点潜時は、SIから記録されたものより、早かったため、これらの微弱反応はそれぞれ直接視床から侵害情報を受けると考えられる。
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