2004 Fiscal Year Annual Research Report
水圏生態系における細菌増殖効率の生態学的支配機構:新仮説の検証
Project/Area Number |
04F04444
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永田 俊 京都大学, 生態学研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ANGIA SRIRAM Pradeep Ram 京都大学, 生態学研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 微生物群集 / 多様性 / 細菌 / ウィルス / 原生動物 / 捕食 / 微生物食物網 / 増殖効率 |
Research Abstract |
本研究では、水域の物質循環において重要な役割を果たす細菌群集の増殖効率(基質の取り込み総量に対する菌体生成量の比)の規定要因としてのウィルス感染と捕食の効果を調べることを目的としている。ウィルス感染と捕食は細菌群集の死滅要因として重要な役割を果たすことが明らかになっているが、それが、細菌の増殖効率にどのような影響を及ぼすかについては知見が乏しい。そこで、初年度は、琵琶湖を対象として研究を推進するうえでの文献調査と実験方法の検討を進めた。まず、水域における物質代謝と微生物群集の関係について、特に、細菌の増殖効率に影響を及ぼす要因についての文献調査を行い、最新情報に基づく、当該分野の研究状況の把握を行った。次に、琵琶湖の表層および深層で採取した試料について、細菌数、原生動物数など微生物諸量の高精度な測定方法に関する検討を行った。また、細菌の増殖効率を測定するうえで不可欠な、高精度溶存酸素濃度測定法についての方法的検討と、測定条件の最適化に関する研究を行った。さらに、細菌の死滅要因として重要な役割を果たす、ウィルス数とウィルス感染率を電子顕微鏡を用いて測定するための試料の前処理方法についての検討も進めた。これらの検討の結果、まだ改良の余地はあるものの、微生物相互作用と細菌増殖効率の関連についての研究を進めていくための方法的な基盤を固めることができた。また、これらの結果に基づき、琵琶湖こおいて微生物群集の季節的、空間的な変動を最も効果的に追跡するうえで必要な、観測計画(観測地点、採水深度、頻度)の検討と実験プロトコールの作成を実施した。
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