2005 Fiscal Year Annual Research Report
光形態形成と傷害応答に共通するシグナル伝達系の解明
Project/Area Number |
04F04447
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
飯野 盛利 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHAO Liqun 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 光形態形成 / 傷害応答 / フォトクロム / レセプターキナーゼ / イネ / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
私たちのイネとトウモロコシを用いた研究によって、ジャスモン酸は傷害応答だけではなく、少なくともイネ科植物では光形態形成にも重要な役割をしていることが明らかになってきた。両生理現象に共通したシグナル伝達機構が関与していると考えられ、本研究はこのシグナル伝達系を解明することを目的とする。本年度は、トウモロコシからクローニングした新規レセプター様キナーゼ遺伝子(WPK1)-傷害、赤色光、およびジャスモン酸投与によって発現が上昇するレセプター様キナーゼ遺伝子(He et al.2005)-に注目し、次の成果を得た。(1)イネとシロイヌナズナにはそれぞれ3個と2個のホモログが存在することをデータベース検索によって明らかにし、WPK1に最も近いイネ遺伝子(OsWPK1)は、トウモロコシの場合と同様に、傷害、赤色光、ジャスモン酸投与に応答して幼葉鞘で発現が上昇すること、またWPK1に最も近いシロイヌナズナ遺伝子(AtWPK1)も、傷害とジャスモン酸投与によって発現が上昇することを明らかにした。(2)OsWPK1のホモログ(OsWPK2、OsWPK3)とAtWPK1のホモログ(AtWPK2)の発現も同処理に反応して変動した。観測された変動は減少と増加を含む複雑なタイムコースを描き、OsWPK1あるいはAtWPK1の発現と複雑に関連していることが示唆された。(3)OsWPK1の発現が抑制されたイネのRNAi形質転換体を作出した。現在、ホモのT2形質転換体を育てており、得られたT3種子を用いて、解析を進める予定である。(4)AtWPK1とAtWPK2のタグラインを入手し、劣性ホモの変異体を分離し、また、それらの2重変異体を作出した。これらの変異体を用い、AtWPK1とAtWPK2の機能を解析する予定である。
|