2006 Fiscal Year Annual Research Report
メダカを用いた内分泌かく乱化学物質の新たな検出法の開発と作用機構の解析
Project/Area Number |
04F04449
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
林 しん治 横浜市立大学, 大学院国際総合科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ABDUS Md.Salam 横浜市立大学, 大学院国際総合科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 内分泌かく乱化学物資室 / 河川水 / メダカ / Green fluorescence protein / 検出感度 / 下水処理放出水 / コリオゲニン / エストロゲン |
Research Abstract |
河川水のエストロゲン活性による汚濁状況を簡便に検出する手法として、エストロゲンの標的タンパクである卵膜タンパクのコリオゲニンのプロモーター領域に続いて緑色蛍光を発するタンパクの遺伝子をメダカ受精卵に導入し、エストロゲン存在下で肝臓が蛍光を発する系統を作製した。さらに、この系統のメダカを用いて、河川水中のエストロゲン活性を簡便に検索する手法を開発した。生殖腺が未分化な孵化直後の幼魚を異なる濃度のエストラジオールを含む飼育水中に曝露し、蛍光発現強度を検定した。エストロゲンへの曝露開始日令と曝露期間とを変化させ、検出の効率化を探ったところ、孵化後4日令から開始し5日間曝露するのが至適な条件であることを見いだした。この条件下で、GFP標識コリオゲニン遺伝子をヘテロに持つ個体では25ng/litterの検出感度、ホモに持つ個体では20ng/litterの検出感度が得られた。一方、抗ビテロゲニン抗体を用いたウェスタンブロットでは、50ng/litterでは有意なシグナル上昇を得られなかったが、100ng/litterでは検出可能であったが、ELISA法では12.5ng/litterで検出できた。したがって、今回開発した手法の感度は、ビテロゲニンの発現を指標としたこの二つの手法の中間に位置した。さらに、横浜市内で採取した比較的汚濁度の高い河川水試料を用いて、今回開発した手法とLS/MSによる検定とを比較したところ、これらの試料中のエストラジオール濃度は2.4-2.6ng/litterであり、今回の手法の検出最低濃度の1/10の値であった。今回開発した検査法は、河川試料濃縮などの過程を経る必要がないことから、下水処理施設の事故や機能不良などによって、高濃度のエストロゲン活性が河川水中に存在した場合は簡便に検出する手法として有効である。
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Research Products
(3 results)