2005 Fiscal Year Annual Research Report
コフィリンホスファターゼSlingshotの活性化のシグナル伝達機構と細胞運動における役割
Project/Area Number |
04F04455
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水野 健作 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG Yan 東北大学, 大学院生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | アクチン細胞骨格 / コフィリン / LIMキナーゼ / Slingshot / カルシニューリン / CaMK II / カルシウムシグナル |
Research Abstract |
コフィリンはアクチン脱重合因子としてアクチン線維のターンオーバーを促進し、ラメリポデイアの形成や細胞遊走に重要な役割を担っている。コフィリンはLIMキナーゼ(LIMK)によりリン酸化、不活性化し、Slingshot(SSH)によって脱リン酸化、再活性化される。本研究において、私たちは,Ca^<2+>シグナルの下流では、calcineurin(Cn)の活性化を介してSSH1Lが脱リン酸化、活性化され、コフィリンの脱リン酸化が誘導されることを解明した。さらに、Ca^<2+>シグナルによるアクチン細胞骨格の再構築におけるCn/CaMK IIによるSSH1L/LIMK1の活性制御機構を解析した。MCF7細胞においてカルシウムイオノホアの刺激によりSSH1Lは細胞膜突出部分に局在することを示した。Ca^<2+>刺激によりコフィリンのリン酸化レベルが低下するが、LIMK1を高発現することによって、コフィリンのリン酸化レベルの低下が抑制された。また、Ca^<2+>刺激によりCaMK IIの活性もLIMK1のThr508リン酸化も一過的に上昇することを見出した。さらに、in vitroアッセイの結果、活性化CaMK IIはLIMK1をリン酸化、活性化し、SSH1Lをリン酸化、不活性化した。以上の結果から、CaMK IIはCa^<2+>の刺激の初期応答において、LIMK1の活性化とSSH1Lの不活性化に関与していることが示唆された。一方、共発現実験及び阻害剤実験から、活性化CnはCaMK IIを脱リン酸化、不活性することが示唆された。以上の結果から、Ca^<2+>シグナルの下流では、まずCaMK IIによるLIMK1の活性化が優先的に起こり、その後、CnによるCaMK IIの阻害とSSH1Lの活性化が優勢になると考えられる。CaMK II/CnはスイッチとしてCa^<2+>シグナルの下流でのコフィリンの経時的な活性制御に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)