2004 Fiscal Year Annual Research Report
コフィリンホスファターゼSlingshotの活性化のシグナル伝達機構と細胞運動における役割
Project/Area Number |
04F04455
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水野 健作 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG Yan 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | コフィリン / Slingshot / カルシウム / カルシニューリン |
Research Abstract |
アクチンフィラメントの脱重合・切断活性を持つコフィリンは、アクチン細胞骨格の再構築を制御することにより、細胞の運動や形態変化に重要な役割を果たしている。コフィリンはLIMキナーゼ(LIMK)によりリン酸化されることで不活性化し、ホスファターゼであるSlingshot(SSH)によって脱リン酸化され再活性化する。これまでの研究により、コフィリンは細胞内Ca^<2+>濃度を上昇させる細胞外刺激に応答して脱燐酸化と再活性化を引き起こすことが報告されている。しかし、Ca^<2+>によって誘発されたコフィリンの脱燐酸化のシグナル伝達機構については不明な点が多く残されている。本研究では、Ca^<2+>によって誘発されたコフィリンの脱燐酸化におけるプロテインホスファターゼSlingshot(SSH)ファミリーのメンバーであるSlingshot-1L(SSH1L)の役割を調べた。まず、培養細胞においてカルシウムイオノフォアであるA23187及び生理的な細胞内Ca^<2+>濃度を上昇させるアゴニストであるATP、ヒスタミンがSSH1Lの活性化及びコフィリンの脱燐酸化を誘発することを示した。また、A23187かヒスタミンにより誘発されたSSH1Lの活性化及びコフィリンの脱燐酸化はカルシニューリンの特異的な阻害剤又は不活性型カルシニューリンによって阻害された。これらの結果は、カルシニューリンはCa^<2+>シグナルによるSSH1Lの活性化及びコフィリンの脱燐酸化を媒介していることを示唆するものである。さらに、RNA干渉(RNAi)の手法を用いたSSH1Lタンパク質発現抑制により、A23187またはカルシニューリンによるコフィリンの脱燐酸化が抑制された。また、vitroで、SSH1Lのコフィリンホスファターゼ活性はカルシニューリンの添加によって上昇した。これらの結果は、SSH1LがCa^<2+>シグナルによって誘発されたコフィリンの脱燐酸化における重要な役割を担っていること、そして、カルシニューリンはSSH1Lの上流において、SSH1Lの活性を制御していることを示唆している。
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Research Products
(1 results)