2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04457
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西田 宏記 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PRODON Francois 大阪大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ホヤ / 卵成熟 / 動植軸 / 胚発生 / 母性mRNA / 局在mRNA / 小胞体 / 卵核胞 |
Research Abstract |
ほぼすべての動物の卵には、動物極-植物極を結ぶ軸(A-V軸)があり、この軸は発生過程における三胚葉の形成と深く関わっていることが知られている。しかしこのような重要性があるにもかかわらず、発生が始まる以前の未受精卵に既にA-V軸が存在しているため、このA-V軸がどのように形成されるかはほとんど理解されていない。よって、卵形成過程と卵成熟過程におけるA-V軸の形成のしくみを、ホヤ卵を用いて研究することを目的とした。ホヤはモザイク卵として知られており、様々な局在母性mRNAがすでに同定されている。また、mRNA以外にも細胞骨格、小胞体やミトコンドリアを含む細胞内小器官も未受精卵の表層でA-V軸に沿って勾配をなして存在することがわかっている。このようにホヤではA-V軸に沿った卵細胞質内の局在が良く理解されていることを活かし、A-V軸の形成メカニズムを解き明かすことを試みた。 ホヤの成熟卵細胞質内で局在しているpostplasmic mRNAに関して、卵形成や卵成熟の様々な段階にあるサンプルを用意し、in situ hybridizationを行い、いつ植物半球への偏りが起こるのかについて詳細を明らかにした。さらに、卵成熟過程の詳細な観察をタイムラプスビデオ等を用いて行い、細胞骨格の動態を時間ごとに詳細に記述した。その結果、mRNAの分布に関しては、卵核胞崩壊後に動物極側から排除され極性化した分布をとることがわかった。この過程では、アクチンフィラメントを介した細胞質の流動が起こり、この流動がmRNAの移動に関わっているらしいことがわかった。同時に、卵核胞があった部位から植物極に向けてアクチンファイバーの束が形成され、角膜孔複合体が卵の植物極に向かって運ばれることがわかった。
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