2005 Fiscal Year Annual Research Report
イネトビイロウンカにおけるバイオタイプの選抜と特徴解析
Project/Area Number |
04F04458
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 千春 神戸大学, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NAEEMULLAH Muhammad 神戸大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | トビイロウンカ / バイオタイプ / 抵抗性遺伝子 / 相互作用 / ビテロジェニン / 多様性 / イネ |
Research Abstract |
イネトビイロウンカ(BPH)の防除には、イネ遺伝資源が保有する抵抗性システムの利用が望ましいが、解決を迫られた課題のひとつは、新たな加害力を獲得したバイオタイプの出現によるイネ抵抗性の崩壊である。 本研究の目標は、精密連鎖地図上で位置が確定した2つの主動抵抗性遺伝子(Bph1,bph2)をそれぞれ単独で保有するイネ系統と、両抵抗性遺伝子の同時導入系統(ピラミッド系統)を宿主として、複数の実験室BPH維持系統の特性解析を行い、イネ抵抗性遺伝子とBPHバイオタイプの特徴および応答を明らかにすることである。 実験室BPH3系統(BPH66,BPH89,BPH99)の、単独導入系統とピラミッド系統上での、BPH幼虫生存率と成虫体重を比較し、Bph1,bph2がBPH66(1966年採取の系統)に対して有効な抵抗性を保持していること、一方、BPH99(1999年採取の系統)が両遺伝子に対して加害力をもつことを明らかにした。BPH89の加害力は、両者の中間型であった。これにより、BPH集団にイネに対する加害力を異にするバイオタイプが存在することを証明できた(論文投稿中)。 バイオタイプをDNAあるいは遺伝子レベルで特徴づけるため、各BPH系統からバルクDNAを抽出した。ミトコンドリアの複数遺伝子をPCRで増幅後、増幅遺伝子の塩基配列を決定し、各系統が特徴的なミトコンドリアDNA型(ハプロタイプ)をもつことを明らかにした(論文準備中)。 個々のBPH個体から解析に耐える精度のDNAを抽出する方法を開発し、各BPH系統内の多型レベル解析中である。 ビテロジェニン(Vt)は卵黄タンパク質の主要な画分であり、胚派生に重要な役割を果たす。BPHからVt遺伝子の保存領域をPCR増幅した。現在、増幅配列をもとに、イネ系統とBPHバイオタイプ間の相互作用を解析中である。同時に、BPH Vt遺伝子の全配列のクローニングを行なっている。
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