2006 Fiscal Year Annual Research Report
ジャガイモそうか病の分子生物学的解析と病害防除への応用
Project/Area Number |
04F04469
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
木梨 陽康 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KHODAKARAMIAN Gholam 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 放線菌 / Streptomyces scabies / ジャガイモそうか病 / thaxtomin / N-acetyltyramine / pathogenicity island / pathogenic factor |
Research Abstract |
研究分担者がイランでジャガイモそうか病の病変部から採取した多くのStreptomyces scabies株の中には、従来のそうか病菌が生産する毒素thaxtominとは異なる強い病変を示す株が見つかった。この中の最も病原性の強い株S.scabies S18を液体培養し、活性成分を酢酸エチルで抽出した後、セファデックスLH20カラムクロマトおよびシリカゲルカラムクロマトで精製したところ、2つの活性分画を得た。一つはジャガイモ切片に強い病原性を示し、もう一つはジャガイモには活性を示さずMicrococcus luteusに抗菌活性を示した。NMRおよびマススペクトルによる解析によって、前者の化合物はN-acetyltyramineと同定された。この化合物のジャガイモに対する病原性はこれまで報告されていない。N-acetyltyramineはジャガイモ切片に添加すると黒色の深い穴を形成したので、酸化酵素を誘導して活性酸素等を生成することが示唆された。N-acetyltyramineの作用機作については、研究分担者がイランに帰国した後も共同研究として続ける予定である。一方、抗菌活性のみを示すもう一つの化合物の化学構造については、現在解析中である。 そうか病の病原性がpathogenicity island上に乗っていて菌株間を転移することがLoriaらによって報告されている。私たちはいくつかのS.scabies株から線状プラスミドを単離し、水平伝播への関与を推定した。しかし、これに関しては矛盾したデータが得られており、今後さらに研究していくことが必要である。
|