2004 Fiscal Year Annual Research Report
マツ枯れ伝播者、マツノマダラカミキリの駆除法としての昆虫病原性線虫類の利用法の確立
Project/Area Number |
04F04473
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
二井 一禎 京都大学, 農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PHAN Long Ke 京都大学, 農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | マツノザイセンチュウ / マツノマダラカミキリ / 昆虫病原性線虫 / ハチミツガ / 伝播経路 / 防除 |
Research Abstract |
日本各地のマツ属樹種に壊滅的な打撃を与えているマツ材線虫病を防除するため、われわれはこの病気の病原体、マツノザイセンチュウを枯死木から周辺の健全木へ伝播し、この病気を流行病たらしめている、伝播者、マツノマダラカミキリに焦点を合わせ、その駆除をめざしている。具体的には昆虫病原性線虫を用いてこの伝播昆虫を殺し、その伝播経路を断とうというものである。すでに、これまでに昆虫病原性線虫を5系統入手すると共に、その培養増殖のために、その食餌となるべきハチミツガ幼虫を入手し、培養系を確立した。また、この昆虫病原性線虫を野外で施与する前段階として、本来土壌棲息性のこれら昆虫病原性線虫材内がどの程度枯死マツ材内に侵入できるのか、あるいはその材内を移動できるのかを確認するため、マツ材を準備し、これらにマツノザイセンチュウとマツノマダラカミキリ若齢幼虫を接種し、一定期間後に昆虫病原性線虫を追加接種することにより、材内棲息性を試験する試みを開始している。さらに、現在被害が拡がっている日本海側クロマツ林に調査地を設け、試料の検討、防除資材の施与法の検討など、今後の調査に向けた予備的な試験を実施した。すべての実験がすべて全く前例のない試みであるため、すべて手探り状態ではあるが、外国人特別研究員の確実な研究手法とわが研究室が培ってきた本病に対する長年の知識、経験が大きな可能性を拓ものと考えている。また、この防除法を実用化するため、国内のこの分野の専門家との交流を深める努力もしており、この分野に有形、無形の成果・情報を残すことができるものと信じる。
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