2006 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質の相互作用に基づくグリコーゲン合成酵素リン酸化酵素3の活性化機構と作用機構
Project/Area Number |
04F04493
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
菊池 章 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE Ping-Chin 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | GSK-3 / Aurora Aキナーゼ / AIP / 細胞周期 / 紡錘体極 / 染色体 |
Research Abstract |
GSK-3はグリコーゲン合成酵素をリン酸化する酵素として1980年に蛋白質として精製され、1990年にはその遺伝子配列が決定された。GSK-3は糖質代謝を制御するリン酸化酵素として同定されたが、現在は多彩な細胞機能を制御することが明らかになっている。また、酵母からヒトに至るまで、進化的に保存されていることから、GSK-3は生物学的に非常に重要な酵素であると考えられている。一方、アルツハイマー病やある種の糖尿病においてGSK-3の活性が亢進していることが知られているが、病態との関連については不明な点が多い。そこで、GSK-3の新たな機能を解析するために、GSK-3結合蛋白質のスクリーニングを行い、AIPを単離した。AIPはAurora A kinaseに結合してAurora A kinaseの分解を促進する蛋白質として同定されていた。GSK-3はAIPのC末端側と結合してリン酸化した。また、AIPはGSK-3とAurora A kinaseと共に三量体を形成した。しかし、GSK-3はAIPの複合体形成にはGSK-3のリン酸化活性は必要でなかった。AIPは細胞周期の間期には細胞質にび漫性に存在していたが、分裂前期になると紡錘体極に濃縮して、中期を過ぎると消失した。また、AIPは分裂中期までの紡錘体糸に局在していた。さらに、AIPをRNAi法によりノックダウンすると、Aurora A kinaseの蛋白質量が増加した。GSK-3によりリン酸化されないAIPの変異体はAurora A kinaseに強く結合して、分解を促進した。従って、GSK-3はAIPをリン酸化することによりAurora A kinaseの安定性を制御することが明らかになった。
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