2005 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧腎障害における凝固線溶系の変化と繊維化の機序の解明及びそれに基づく新たな治療法の探索
Project/Area Number |
04F04497
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 敏郎 東京大学, 医学部附属病院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHAO J. 東京大学, 医学部附属病院, 外国人特別研究員
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Keywords | アンジオテンシン / ARB / PAI-1 / 高血圧腎障害 |
Research Abstract |
レニン・アンジオテンシンシステム(RA系)は高血圧症における世界的研究の中心となってきた。このシステムは、血圧および水、電解質の平衡など、様々な腎機能を調節する際に重大な役割を果たしているRA系は、凝血線溶システムおよび組織の繊維化において重要な役割を果たすplasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)を誘導する。RA系の亢進が腎臓の固有細胞(IRPTC)に与える影響をPAI-1に注目して検討した。本年度の研究では、angiotensin IIによりPAI-1の亢進と酸化ストレスの関連について、調べてみた。 アンジオテンシン・レセプター・wild typeとknockoutマウスのメサンギウム細胞を培養し、24時間各濃度angiotensin II(10^<-8>M〜10^<-5>M)の刺激により、CM2DCFH-DA標識した細胞内過酸化物を定性的(フローサイトメトリーにより)および定量的(蛍光96-well microplate readerにより)検出した。また、wild typeメサンギウム細胞で酸化ストレスの増加は10^<-5>M angiotensinの刺激で最も大きいと見られた。細胞内過酸化物の増加が見られた一方、knockoutマウスメサンギウム細胞内過酸化物の増加は見られなかった。よって、angiotensin IIに誘導される酸化ストレスのレセプター依存性とドーズ依存性が認められた。さらに、angiotensin IIの刺激により細胞内PAI-1 mRNAの発現について、knockoutマウスメサンギウム細胞で有意な増加が見られなかった。ですから、アンジオテンシン・レセプターはangiotensin IIに誘導されるPAI-1 mRNA発現の増加を仲介すると認めた。 アンジオテンシン・レセプター阻害剤(ARB)の一つテルミザルタン(telmisartan)を用い、細胞内酸化ストレスに与える作用を調べた。Angiotensin IIおよび外因性H_2O_2の刺激に誘導される酸化ストレスとPAI-1 mRNA発現の増加がtelmisartanの投与により抑制された。以上telmisartanの作用はアンジオテンシン・レセプター非依存性だと強く認めた。 結論として、酸化ストレスの改善とPAI-1発現の阻害は高血圧腎障害疾患の治療に重要な機転だと示した。
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Research Products
(3 results)