2005 Fiscal Year Annual Research Report
磁気記録媒体用コバルト-モリブデンとコバルト-タングステン基合金薄膜のミクロ組織制御
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04F04511
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
及川 勝成 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秦 高梧 東北大学, 大学院工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 磁気記録媒体 / 二相分離 / 結晶磁気異方性 / Co基合金薄膜 / 磁性薄膜 / 計算状態図 |
Research Abstract |
コンピュータのハードディスク等に用いられるCo-Cr基磁気記録媒体は,急速な高記録密度化に伴う結晶粒径の微細化等のため,熱揺らぎによる記録状態の劣化などが顕在化しつつある.対熱揺らぎ特性の改善には,高い磁気異方性エネルギーを有する磁性薄膜の開発が必要不可欠である.現在,高い磁気異方性を有するFePt-L1_0型合金が注目され,微細な孤立粒子状薄膜を作製するためのプロセスの研究が盛んに行われている.しかし,規則化温度が従来プロセスと比較して高温なことや,磁性粒子の孤立化などで実用化への課題が山積されている. Co-Cr基磁気記録媒体は,Co-richの強磁性hcp構造粒子をCr-richの常磁性hcp構造層が取り囲む2相分離組織となっていることが,優れた磁気記録特性を示す一つの要因であった.この2相分離は,Co-Cr系状態図のCo側の磁気変態点に沿って現れる2相分離に起因していると考えられる.従って,Co-Cr基合金と同様の2相分離組織を示し,高い磁気異方性エネルギーをもつ材料が磁性薄膜材料が次世代磁気記録媒体の候補として適していると考えられる.予備研究の結果より,Co-MoおよびCo-W系がCo-Cr系よりも数倍高い磁気異方性エネルギーを持ち,更に,計算状態図より,これらの系にCo-Cr系と同様の2相分離が存在することが明らかにし,そこで,Co-MoおよびCo-W系を次世代磁気記録媒体の基本系として提案している.更に,Cr, NiAlおよびNiAlV合金を下地層としてCo-W薄膜を作製した結晶配向性および磁気特性について調査した結果,NiAl下地が配向制御だけでなく,磁気特性の改善にも有効であることが明らかとなった.更に,NiAlを下地としてCo-W薄膜の膜厚を変化させた結果,僅か10nmの膜厚でも1kOe以上の高い保磁力をもち磁気記録媒体として有望であることを示した.
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