2005 Fiscal Year Annual Research Report
耐酸化性向上型炭素繊維強化耐熱複合材開発に関する研究
Project/Area Number |
04F04512
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
佐藤 裕 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 総合技術研究本部, 主幹研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAJEEV R.S. 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 総合技術研究本部, 外国人特別研究員
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Keywords | 宇宙往還機 / 耐熱構造材料 / ナノ複合材料 / カーボン・カーボン複合材 |
Research Abstract |
耐酸化性向上型炭素繊維強化耐熱複合材料の創製に必要となる原料素材の調達からはじめ,試作を行うための基礎データの取得を中心とした研究を実施した.数種のノボラックフェノール樹脂と数種のPOSS(Polyhedral Oligomeric Silsesquioxane)を入手し,フェノール樹脂中におけるPOSSの分散状態や熱硬化処理後の樹脂物性をTGAやDSCといった装置を用いて分析することにより,材料開発に最も適した樹脂とPOSSの組み合わせについて検討した.また通常は難しいフェノール樹脂単体での熱硬化処理法について,その手順を確立した. 界面活性剤を用いた場合とそうでないものについてPOSSナノシリカの分散を試み,超音波攪拌装置を用いた攪拌法をある条件で実行することにより安定した分散が実現できる条件を見いだした.界面活性剤についてはアセトンを溶剤として加えることで,POSSの良好な分散が得られることが判った.また熱硬化処理については,樹脂からの気泡の発生により,通常の方法では良好な試料を作製することができないが,気泡の混入がない良好な分析評価用試料を得るために必要な適切な気圧条件および硬化処理温度履歴条件を見いだした.また,このようにして得られた試料を用いて,POSSが存在する場合とそうでない場合について,硬化後の樹脂の物性を示差走査熱量分析計(DSC)による分析を行うことにより,母材のプリカーソルとなる樹脂の耐酸化機能発現に関連した基礎データを取得した. CFRP織物材を強化材としPOSSナノシリカを分散させたフェノール樹脂を母材とする複合材料を試作し、POSSが分散していることによる熱物性、機械的特性、熱化学的安定性に関するデータ取得を行った.その後1,000℃の不活性ガス(アルゴン)ガス雰囲気で母材を炭化させ同様のデータ取得を実施中であり、これが完了次第、さらに高温(2,000℃)で黒鉛化処理を行い、採用期間終了時までに開発した炭素繊維強化耐熱複合材料の耐酸化性向上度の評価を完了する予定である。
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