Research Abstract |
1.昨年度までに選抜した改変シロアリセルラーゼ(高発現系適合高比活性酵素)A18に見られる26変異アミノ酸変異のうちS25A,A87S,S90D,G91A,Y97W,L103I,A170S,Q202Kの各1アミノ酸変異導入セルラーゼの発現が電気泳動ゲル上で確認されたため,各々の酵素をアフィニティ精製し,その比活性を比較したところ,S25A,A87Sを除くすべてのクローンで比活性の顕著な向上が確認された。次に,これらの変異を複数導入したクローンを作成し,発現性(比活性)に与える影響を調査したところG91A+Y97W変異セルラーゼがA18と遜色ない発現性を示すことが解明された。G91およびY97についてはG91V,G91I,Y97FなどA18に見られない変異を加えてみたがG91AやY97Wほどの効果は示されなかった。 ヤマトシロアリセルラーゼの大腸菌による大量発現を可能にするためには,G91AおよびY97W変異の導入が有効であり,A18変異セルラーゼと同等の発現性が得られると結論された。 2.アフィニティー精製されたセルラーゼ溶液をそのまま凍結乾燥すると,再溶解してもすべての活性が失われた。一方,デキストリンを加えたところ,凍結乾燥直後に再溶解した場合,タンパク:デキストリン混合比1:3の条件で100%の活性が保存された(表1)。この条件で室温および-30℃での保存性を4週間に渡り測定したところ,凍結乾燥後1日で活性は30%程度まで低下し,7日後には-30℃で若干の方が若干高い活性を保持していたが,室温,-30℃ともに未処理の20%未満にまで活性が低下した。 デキストリンの添加は凍結乾燥に対する耐性をセルラーゼに与えるが,長期保存特性を大きく向上させることはなかった。
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