2005 Fiscal Year Annual Research Report
希土類金属触媒を用いる新しい共役性発光ポリマーの合成
Project/Area Number |
04F04562
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
侯 召民 独立行政法人理化学研究所, 侯有機金属化学研究室, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Yu 独立行政法人理化学研究所, 侯有機金属化学研究室, 外国人特別研究員
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Keywords | エンイン / カルバゾール / 有機EL / 白色発光 / 希土類触媒 |
Research Abstract |
本年度は、π共役エンイン骨格を有する新しい有機EL材料を合成し、それらのEL発光特性について調べた。 希土類触媒を用いてカルバゾールユニットを有する芳香族末端アルキン(CPA)を二量化させたところ、対応する共役エンイン化合物(E)-CPEYおよび(Z)-CPEYがそれぞれ選択的に得られた。これらの化合物は溶液および固体状態いずれにおいても強く青色発光した(発光量子収率:(E)-CPEY,75%;(Z)-CPEY,70%)。興味深いことに、ITO/NPB(30nm)/(E)-CPEY(40nm)/LiF/AlからなるEL素子を作成し電圧をかけたところ、予想した青色ではなく、強く白色発光した。7Vから発光しはじめ16.5Vにおいて最高輝度が1395cd/m^2に達した。これは単一発光材料からなる白色発光有機EL素子としては最も高いものである。また、ホール輸送材料NPBを用いなくても、発光効率が若干低くなるが同様に白色発光し、(E)-CPEYのみが白色EL発光源であることが明らかとなった。さらに、これらの素子から発行された白色光のCIE座標は(0.32,0.33)であり、純粋な白のCIE座標(0.33,0.33)に非常に近いこともわかった。 白色発光するEL素子は通常、各原色を発光する複数の材料を混ぜ合わせることによって作製されるが、各発光材料の混合比の調整や作業過程の複雑さなどから、再現性や安定性などの問題点があった。今回のように単一の発光化合物からほぼ純粋な白色光が発光された例はこれまでほとんど報告されていない。発光機構としては、現在のところ(E)-CPEY自身の青色発光に加えてエキサイマーの形成による長波長側の発光が重なり、結果として白色発光したものと考えている。
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