2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04573
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鈴木 敏重 独立行政法人産業技術総合研究所, コンパクト化学プロセス研究センター, 副センター長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GORA Artur Wiktor 独立行政法人産業技術総合研究所, コンパクト化学プロセス研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 水素生成 / 膜リアクター / 合金 / パラジウム / 脱水素 / 触媒 |
Research Abstract |
水素の分離や反応に用いる膜型反応器(メンブレンリアクター)として、水素脆化に強い膜材料の開発と反応への応用に取り組んだ。粒子間空隙に選択的にパラジウムを充填する"Pore filling membrane"を開発し、その水素透過特性を調べた。この膜材の注目すべき特性として、パラジウムの水素脆化が起こり易い200℃以下においても破壊されず、50℃、水素1気圧で200時間の間、水素透過束度にほとんど変化が認められなかった。パラジウムが充填された部分を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、ナノサイズのパラジウム粒子が高分散していることがわかった。パラジウム粒子のナノサイズ化により、粒子表面の水素の割合が粒子内部よりも多くなり、水素脆化が緩和されるものと考えられる。この"Pore filling"タイプの膜は250℃以下の水素脆化温度領域で安定に用いることが出来ることから、水素脆化が起こる温度領域においてメンブレンリアクターとしての利用を試みた。 水素の貯蔵に有望視されているメチルシクロヘキサンから水素を取り出す脱水素反応を、250℃以下での反応効率を検討した。生成する水素をpore filling型の膜により反応系外に分離して反応の平衡をシフトさせることで、触媒単独よりも反応効率が向上することを確認した。例えば、150℃で、メンブレン分離を行うことにより、触媒単独の60%、200℃において70%の反応効率の向上が認められた。このように、通常の触媒反応にメンブレンリアクターを組み合わせることでより高い反応効率が得られること、新規な構造のパラジウム膜が水素脆化による破壊を起こさずに長時間安定であることが確認された。
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