2005 Fiscal Year Annual Research Report
環形動物ヤマトヒメミミズの再生に関与する遺伝子の同定と解析
Project/Area Number |
04F04583
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Host Researcher |
茗原 眞路子 独立行政法人農業生物資源研究所, 発生分化研究グループ・発生機構研究チーム, チーム長
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Foreign Research Fellow |
NIVA Cintia Carla 独立行政法人農業生物資源研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 環形動物 / 再生 / 遺伝子クローニング / WISH解析 |
Research Abstract |
1.目的 ヤマトヒメミミズ(環形動物・貧毛類)は、体の数十分の一の小断片からでも、わずか4〜5日で完全な個体を再生することができる。本研究は、このような著しい再生能力をもつヤマトヒメミミズをモデル実験動物として、その再生メカニズムを解明し、再生力の低い動物の再生力強化法の開発への基礎知見を得ることを目的とする。本年度は、これまでに単離した再生期特異的遺伝子のいくつかについて、昨年度確立したwhole mount in situ hybridization (WISH)法を用いて、再生過程における発現部位を解析する。 2.結果 (1)遺伝子#1 この遺伝子は、既知遺伝子とは全く相同性のない新規遺伝子であるが、再生個体と正常個体間のsubtractionを行ったcDNAライブラリー中では最も出現頻度が高く、また、RT-PCR解析により、その発現は非常に再生期特異性が高いことが示されている。WISH解析でも、正常個体では発現がみられず再生初期(再生芽形成期)にのみ強い発現が検出されたが、その発現部位は再生芽ではなく、再生芽以外の体幹上皮全体であった。このことから、この遺伝子は再生芽形成に関わる遺伝子の発現抑制調節に関与していることが示唆された。 (2)遺伝子#20 この遺伝子も新規遺伝子であり、再生期にのみ強く発現することがRT-PCRによって示されている。WISH解析の結果、この遺伝子が最も強く発現する部位は、再生芽腹側の腹部神経索原基であることが明らかになり、頭部神経系の再生に関与していることが示唆された。 (3)グルタミン合成酵素遺伝子(gs) この遺伝子も再生芽で発現するが、その部位は#20遺伝子とは異なり、最も強い発現は頭部再生芽前端部の口前葉原基で検出された。このことから、gs遺伝子は、口前葉に多く分布する感覚器官の再生に関与していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)