2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04F04588
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Research Institution | 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 |
Principal Investigator |
永井 卓 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 畜産草地研究所・企画調整部・中小家畜研究官
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KARJA Ni Wayan Kurniani 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 畜産草地研究所・企画調整部, 外国人特別研究員
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Keywords | 豚 / 体外受精 / 胚移植 / 卵子 / 精子 / 多様性 / 保存 / 活性酸素 |
Research Abstract |
効率的な豚胚の体外生産および胚移植手法の確立を目的に研究を行っている。本年度の研究実施計画に基づいて、食肉処理場で採取した豚卵巣から回収した未成熟卵母細胞を体外で成熟・受精することによって得られた体外生産胚を体外培養によって、胚発生させるのに有効なグルコースの添加量を検討した。その結果、受精後2日間、培養液中にグルコースを、1.5,3.5,5.5,10,および20mM添加した場合、胚盤胞期胚への発生率は、それぞれ、5.2〜13.5%となり、添加しなかった対照区(ピルビン酸ナトリウムと乳酸カルシウムを添加)の26.3%と比較して有意に低い値を示した。また、胚盤胞期胚一個あたりの平均細胞数も有意に低かった。さらに、胚の発生を阻害する活性酸素種レベルについて調べたところ、受精後一日が経過した胚では、グルコースを添加した場合に、対照区と比較して有意に高い値を示した。しかし、受精後二日目の胚では、1.5mMおよび3.5mMのグルコースを添加した場合にのみ、対照区と比較して有意に高い値が得られ、その他の区では活性酸素種の発生が抑制された。受精後一日目の胚のグルタチオン濃度は、どの区にも差が見られなかったが、受精後二日目の胚では、1.5mMのグルコースを添加した場合に有意に低い値を示した。以上の結果から、1)受精後二日間の培養液中へのグルコース添加によって、体外生産豚胚の発生率が低下する(これには、受精後一日目の胚における高い活性酸素種レベルが関与していることが示唆された)、2)培養液中にグルコースを添加した場合(1.5mMのグルコース添加区を除いて)、受精後二日目の胚がグルタチオン濃度を対照区と同レベルに維持できることが胚発生に有効であるのではないかと示唆された。これにより、胚には予想以上に活性酸素種を取り除こうとする(スカベンジ)機能が備わっていることが明らかとなった。
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