2005 Fiscal Year Annual Research Report
感染症媒介性マダニの中腸蛋白分解酵素と抗微生物蛋白の機能解明及び応用に関する研究
Project/Area Number |
04F04589
|
Research Institution | 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 |
Principal Investigator |
辻 尚利 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 動物衛生研究所・感染病研究部, 主任研究官
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HUANG Xiaohong 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 動物衛生研究所・感染病研究部, 外国人特別研究員
|
Keywords | 節足動物 / マダニ / 病原体媒介者 / ベクター / 中腸 / ガレクチン |
Research Abstract |
人・動物バベシア症の媒介者(ベクター)であるフタトゲチマダニの中腸内における吸血生理、とりわけ宿主血液成分の半数を占める赤血球の処理機構に重要な役割を果たしているカテプシンと殺バベシア原虫活性が確認されている中腸内抗微生物蛋白について機能解析を実施した。 1.中腸で発現するカテプシン(ロンギパイン)の性状 アミノ酸341残基で構成されるシステインプロテアーゼ様分子ロンギパインの機能解析を実施するため、酵母で組換え蛋白を作製し、バベシア原虫に与える影響について検討した。宿主赤血球(RBC)膜の主要構成分子であるスペクトリンの加水分解作用に加えて、ロンギパインはRBC寄生原虫であるバベシア原虫に直接接着して殺虫効果をもたらすことが確認された。このことは中腸上皮からで分泌されたロンギパインは中腸内腔で吸血により取り込まれたバベシア原虫数の伝搬制御に関与していると思われる。 2.殺バベシア原虫活性を有するマダニ抗微生物蛋白の性状 昨年度、フタトゲチマダニが媒介するバベシア原虫に対して殺滅作用を有するロンギシン分子を単離した。本年度はin vitro及びin vivoでの効果について検討した。完全長のロンギシンをもとに作製したC末側38残基の合成ペプチドは濃度依存的に馬バベシア原虫(Babesia equi)に対する殺原虫活性を示した。共焦点レーザー顕微鏡の成績からロンギシンは赤血球とは結合せず、バベシア原虫表面に特異的接着することが分かった。マウスバベシア原虫-マウス感染系を用いてin vivoでの有効性を検討したところ無処置群に比べ、投与群では顕著な寄生率の低下が確認されin vivoでの有効性が確認されて。投与群の血液塗末像では寄生原虫の過剰増殖、ピクノーシスを起こして死滅した原虫さらに、赤血球外に出たフリーの原虫が多数認められた。
|
Research Products
(1 results)