2006 Fiscal Year Annual Research Report
感染症媒介性マダニの中腸蛋白分解酵素と抗微生物蛋白の機能解明及び応用に関する研究
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04F04589
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
辻 尚利 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所 人獣感染症研究チーム, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KIAOHONG HUANG 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所人獣感染症研究チーム, 外国人特別研究員
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Keywords | 節足動物 / マダニ / 病原体媒介者 / ベクター / 中腸 / ガレクチン |
Research Abstract |
マダニ体内におけるマダニ媒介性病原体とマダニ中腸の分子間相互作用を明らかにするため、中腸で発現するガレクチンの分子性状を検討した。 1.性状の異なるガレクチン2種の遺伝子単離とその分子性状を解明 フタトゲチマダニcDNAライブラリーから2つのガレクチン分子(HlGalec-1、HlGalec-2)を分離し、それぞれの組換え体を大腸菌及び酵母で作製した。はじめに、HlGalec-1の分子性状及び糖結合能について解析した。酵母発現のHlGalec-1はガレクチンファミリーで確認されている特徴を備え、特にバベシアを媒介しないヒメダニのガレクチンでは確認されていないpoly-Galβ1-3 chainsに対する親和性が高かった。おそらく、媒介者であるフタトゲチマダニが独自に獲得した制御分子であることが示唆された。現在、バベシア原虫への関与を明らかにするためのRNA干渉を実施中である。この成績はマダニステージにおけるバベシア原虫伝搬阻止法の確立に向けた有益な情報を提供するものである。 2.ヒメダニから分離したガレクチンの分子性状 ガレクチン遺伝子及び内在性蛋白の発現は全てのヒメダニ発育ステージで確認された。大腸菌発現の組換えヒメダニガレクチンは赤血球凝集とラクトース結合能を保持が確認された。また、オリゴ糖結合能はヒメダニガレクチンがガレクチンファミリーに属することを示唆するものである。一方、ヒメダニガレクチンではpoly-Galβ1-3 chainsの結合能は確認されず、フタトゲチマダニガレクチンとはことなることが示唆された。これらの違いは媒介マダニ及び非媒介マダニの起源を探る上で有益な情報を提供するものと考えられた。
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