2006 Fiscal Year Annual Research Report
腺様嚢胞癌細胞の浸潤におけるインテグリン、増殖因子受容体シグナルの協調作用
Project/Area Number |
04F04607
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白砂 兼光 九州大学, 大学院歯学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ABU-ALI Samah 九州大学, 大学院歯学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 腺様嚢胞癌 / ウロキナーゼ受容体 / インテグリン / ウロキナーゼ / 接着斑 / 浸潤 / 上皮成長因子 / 上皮成長因子受容体 |
Research Abstract |
腺様嚢胞癌は神経や血管を含む強い局所浸潤と肺などへの遠隔臓器への転移を特徴としている。我々は腺様嚢胞癌由来細胞を用いて本腫瘍の浸潤特性を解析してきた。その結果、腫瘍細胞はウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベター受容体(uPAR)を高発現しており、本腫瘍の特有な神経浸潤や血管浸潤はuPARとα2インテグリンを介したコラーゲンへの強い接着ならびに細胞遊走によることを示唆した。すなわち、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベター(uPA)/uPARシステムはそのプロテアーゼ活性を利用して、癌細胞の浸潤を促進するが、それと共に、uPARはインテグリン関連タンパクと接着斑で複合体を形成することを明らかにした。uPARをノックダウンすると、コラーゲン刺激によるインテグリン関連分子の接着斑への動員、細胞遊走亢進は完全に抑制された。 上皮成長因子(EGF)で細胞を処理するとAP-1が活性化され、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベター(uPA)やuPAR発現が亢進し、癌細胞浸潤は亢進される。一方、uPARはuPAを活性化するのみならず、uPARからのシグナルが種々の重要な働きを担う。その一つは上記のごとくインテグリンとの相互作用であり、他方はEGF受容体(EGFR)のような増殖因子受容体との相互作用であると思われた。すなわち、uPAで細胞を処理するとインテグリン関連タンパクであるFAKの活性化やシグナルタンパクのERKの活性化がおこるが、このようなシグナルの誘導はEGFRを抑制させると、阻害された。
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