2004 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレン誘導体のレーザー誘起電荷分離過程の近赤外過渡吸収法による研究
Project/Area Number |
04F04707
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 攻 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG Huimin 東北大学, 多元物質科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | フラーレン / 二酸化チタン |
Research Abstract |
フラーレンは様々な電子ドナーと光誘起電子移動を行うが、π共役系が発達したオリゴチオフェン、ポルフィリン、フタロシアニン等が特に有望である。本年度は、ポルフィリン-フラーレン間がオリゴチオフェン共役鎖で橋渡しされた分子群の光誘起電子移動反応に関して近赤外過渡吸収法による検討を行った。電子ドナー-アクセプターであるポルフィリンとフラーレン間に、橋渡しの役割を果たすオリゴチオフェンがクラウンエーテルを付加した状態で導入された分子は、クラウンエーテル部分への金属イオン包摂力によるオリゴチオフェンの構造変化制御を行うことで、光誘起電子移動そのものを制御可能である事が判明した。 また、通常カーボンナノチューブは有機溶媒へはほとんど可溶しないが、π共役系を有する分子(ピレン、ポルフィリン等)により、有機溶媒もしくは分散する事実が報告されてきている。カーボンナノチューブは溶液へと分散すると近赤外領域へ特徴的な吸収スペクトルを示すようになる。この点に着目し、ポルフィリンを用い、重水もしくはDMF中へと分散させたカーボンナノチューブの光励起挙動をナノ秒近赤外過渡吸収法から検討した。また、C_<70>をカーボンナノチューブ空洞内へ導入したC_<70>@カーボンナノチューブのナノ秒近赤外過渡吸収スペクトルを測定し、可視-近赤外領域にかけてブロードな吸収スペクトルの存在が判明した。今後、この吸収スペクトルの同定を理論的に行っていく。 そのほか、銀コロイドナノ粒子とデンドロン部分を有するフラーレンの、溶液中に分散させたナノ構造体の近赤外過渡吸収法による検討も行った。可視-近赤外にかけてブロードに広がる過渡吸収スペクトルが観測されているが、この理論的解釈を今後検討していく。
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Research Products
(6 results)